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沼津のウナギ店が「ソフトうな丼」 福祉・介護分野と連携で「食のバリアフリ ー」目指す

「沼津うなよし」二代目の名古屋さん(左)と「言語聴覚士ステーションはるか」の不破本さん

「沼津うなよし」二代目の名古屋さん(左)と「言語聴覚士ステーションはるか」の不破本さん

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 ウナギかば焼き専門店「沼津うなよし」(沼津市下香貫)が11月23日、予約制で、加齢や病気によってかむ力や飲み込む力が弱くなった人向けのやわらかいウナギのかば焼き「ソフトうな丼」とかば焼き真空パック「ソフト 極」の販売を始めた。

「ソフトうな丼」

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 昭和33(1958)年創業の同店。脂を落として蒸し上げる深蒸しのウナギを創業当初からつぎ足すたれに漬けてからやわらかく焼くウナギのかば焼きが看板商品という。

 同商品は、パナソニックの社内スタートアップ企業「ギフモ」(京都府)が開発した調理家電「デリソフター」を使って調理する。付属のカッターで食材に72カ所の隠し包丁を入れ、圧力調理を行うことで、ウナギのかば焼きの見た目や味を変えずにやわらかく仕上げる。メニューは「ソフトうな丼」(4,235円)、かば焼き真空パック「ソフト 極」(1,998円)など。

 同店二代目の名古屋浩之さんは「福祉や介護に興味があり『NPO法人はるか』のイベントに参加しデリソフターを知った。元々やわらかいウナギを提供しているが、4本の串に刺してウナギを焼くため、これ以上やわらかくすると串から落ちてしまう。デリソフターで、極限までやわらかく仕上げることができた。通常ウナギに合わせるご飯は固めだが、ご飯もやわらかく飲み込みやすく調理する。希望によりかゆ状にしたご飯も提供する」と話す。

 同商品の開発に協力した「言語聴覚士ステーションはるか」の不破本純子さんは「言語聴覚士として各家庭を訪問し、食事の作り方をアドバイスすることがあるが、難しい面もあると感じていた。『ソフトうな丼』をきっかけに静岡県東部エリアの誰もが、食べることを楽しめる地域にしていけたら。『柔らか食』を提供する店のマップ制作や、嚥下(えんげ)障害への配慮の方向性をアドバイスする勉強会なども開いてみたい」と話す。

 名古屋さんは「おいしさは香り、味だけでなく見た目も大きく影響する。事故や病気、加齢などで食べる事が難しい人でも家族みんなで一緒のものを食べられる機会を提供できれば。『ミキサー食』『刻み食』ではなく、舌と歯茎でつぶすことができるウナギのかば焼きを家族と共に楽しんでほしい。食の平等、食のバリアフリーの第一歩として、できることから少しずつ始めていきたい」とも。

 前日までの予約が必要。営業時間は11時~14時30分、16時30分~21時。火曜定休。

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