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沼津の戸田港沖でタカアシガニ放流 資源保護目的に40匹

タカアシガニを放流する沼津市立戸田小中一貫学校の児童ら

タカアシガニを放流する沼津市立戸田小中一貫学校の児童ら

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 戸田地域の特産品であるタカアシガニの放流が5月16日、戸田港(沼津市戸田)沖で行われた。

放流したタカアシガニ(関連画像3枚)

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 現生の節足動物では世界最大のカニとして知られているタカアシガニ。深海トロール漁が盛んな戸田地域では特産品として食用として用いられ、古くから定食店のメニューや土産物として人気がある。

 タカアシガニの放流は、生態調査と資源保護を目的に沼津市商工会戸田支所が1985(昭和61)年から毎年行っている。放流はトロール漁が5月15日に禁漁になるタイミングを見計らって行い、例年、関係者と共に地元の小学生などが参加している。2002(平成14)年~2025年の23年間で2282匹のタカアシガニを放流し、これまでに50匹が再捕獲され、そのうち3匹は三重県熊野灘で捕獲されている。

 今年は漁協関係者や地元飲食店関係者と、沼津市立戸田小中一貫学校(同)の5年生~7年生の児童・生徒18人が参加し、放流を行った。戸田こども園の園児8人も見学に訪れた。

 放流作業は地元漁師らから提供されたタカアシガニ約40匹に、生徒らが識別用のタグを付け、甲羅の大きさと重量、性別、卵の有無を記録。その後、戸田港の沖合約1200メートルまで船で移動し、お神酒と塩をまいた後、水深約120メートルの駿河湾に児童・生徒らの手によって一匹ずつカニを放流した。

 同商工会の中島寿之さんは「タカアシガニは寿命が100年ともいわれているが、年齢の査定手段がいまだ見つかっておらず、解明されていないことがとても多い。移動・定着・出て行くもの、3種類のタカアシガニがある。9月のトロール漁でタグを付けたタカアシガニが捕獲できるかもしれない」と解説した。

 同園年中たかあしがに組の児童は「近くで見るタカアシガニは大きかった。まだ食べたことがないので、いつか食べてみたい」と話していた。

 同校6年の石原花音さんは「戸田にとってタカアシガニは大切な存在。食べるとさっぱりした甘みがある。最近取れなくなってきていると聞くので、今回放流したタカアシガニが大きくなって、また戸田に戻ってきてほしい。放流をきっかけに戸田が元気になれば。20年後もタカアシガニの放流が続いているといいなと願っている」と話す。

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