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沼津の水産加工会社がおだしギフト発売 女子高生とコラボで「おだしすたーず」誕生

自身らが生み出した商品を見つめる、おだしすたーずのメンバーたち

自身らが生み出した商品を見つめる、おだしすたーずのメンバーたち

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 沼津の水産加工会社「加倉水産」(沼津市獅子浜)が10月25日、だし粉のギフトセット「ぬまづの、おだし・お粉のギフト」の販売を始めた。

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 同商品は、10月25日に開催された沼津青年会議所主催による「自慢のコレ」で開発された商品。同イベントでは沼津にある高校と地元企業でコラボレーションした商品を開発し、商品化を目指すという。

 同商品を開発したのは、今年で創業81年になる老舗水産加工会社である同社と、加藤学園高等学校(大岡自由ヶ丘)の生徒会に所属する、浅羽奈都子さん(3年)、松廣涼夏さん(2年)、石井千映(ちあき)さん(2年)、椿志野さん(2年)ら。

 プロジェクトに参加する当初は「まさかだし粉をやると思わなかった。干物とばかり思っていた」(浅羽さん)、「魚が苦手で食べられない何で自分が魚かと思った」(松廣さん)、「だし粉に対して全く知識がなかった。化学調味料しか使ったことがない」と全員が素人だった。

 商品の内容はマグロ・アジ・イワシ・サバのだし粉を瓶詰めしたもので、通常のだし粉と異なり使うことが楽しくなるようなデザインにこだわった。ターゲットについて、2年生の石井千映(ちあき)さんは「キッチンとオシャレにこだわりのある人。想定していたのは料理家の栗原はるみさん」と話す。

 今年5月に初めて顔合わせをしたチーム。同商品の開発担当で、同社の商品開発担当の4代目になる石垣優子さんは「約4カ月の打ち合わせの中で、さまざまな意見や提案が商品の成長を促した。魚の苦手なメンバーもいて、当初はここまで伸びる商品になるとは正直思っていなかった」と振り返る。

 同社は今年で81年目になる老舗水産加工を営む会社。家族経営の小規模な水産加工業を営んでおり、干物を中心とした加工物の販売を行っていた。

 転機が訪れたのは石垣さんが家業を継ぐと決めた4年前。大量生産の流れと全く逆を目指し、魚を選定する能力と技術を生かした高級ブランド品「正忠」を展開。販売をネット通販とデパートに絞り、通常価格の5倍にあたる2,200円で販売しヒット。歳暮セットとしては1万円の高価格帯が人気を呼んでいる。

 今回はその正忠に続くブランドとして展開する予定の商品。だし粉に注目した理由について、石垣さんは「沼津は干物のイメージが強いが、大手食品メーカーで使われている削り節やだし粉なども実は沼津で作られているのが多い。その沼津のだし粉の魅力を多くの人に知ってもらいたい、という思いから商品開発に挑んだ」と話す。

 今回のプロジェクトチームは、商品開発の前にチーム名を決めた。チーム名は『おだしすたーず』。開発に携わったのはメンバーだけでなく、パッケージデザイン担当者も全て女性という構成。「まるで女子トークのように会議が進んでいった」(石垣さん)と振り返り、女性が持って喜ばれるデザインや形状などにこだわった。

 商品開発について石垣さんは「自身が業界のデザインの踏襲を打ち破ったのだが、予算や保存方法など固定概念があった。今回のメンバーたちは、いい意味でその常識を知らず、本当にいいものを選んでいった。予算も妥協せず、いい品、自慢したい商品に仕上がった」と話す。

 商品にはメンバーたちが開発したレシピも添付し、初めて使う人たちにもだし粉の魅力を知ってもらう工夫を施しているのも特徴。「自分みたいな世代にも興味を持つきっかけがあれば、きっと好きになるはず」(石井さん)とも。

 完成した商品について、浅羽さんは「進学などで故郷を離れることがあるが、この品を持って地元の人々にお礼もできるし、地元の自慢になる商品になった。今後も地元の自慢ができる商品に成長していければ」と話す。

 現在はネット通販のみだが、今後について、石垣さんは「デパートだけでなく、沼津のさまざまなところで活躍してほしい」と期待を込める。

 瓶セット(4本)の価格は3,000円。現在、「沼津かねはち」(沼津市千本港町)と「ひねもすcafe」(沼津市魚町)で先行販売中。ホームページでの販売は月内を予定。

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