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年間1万泊のユースホステルが実感「つなげる」ホステルの「つながる」努力

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政府観光局によると、2015年に来日した外国人旅行者の数は2000万人に届くほど成長し、2016年にはそれを超える勢いに達している。しかし、数年前までは「爆買い」で話題となった外国人観光客は都心のデパートや電気街から移行し、現在彼らはどこに目を向けているのだろうか。そして新たな観光地が外国人観光客を引き付ける魅力とは?

今回は、伊豆半島の伊東で営むユースホステルを舞台に、外国人旅行者への新しいアプローチに迫った。

1年間で1万泊!海外のトラベルサイトで高評価の旅館
インバウンド観光の「先端」にも悩みはあった

K’s House Ito Onsen(ケイズハウス伊東温泉)は、2008年開業のユースホステル施設。同施設はかつて高級旅館として運営していた旅館「いな葉」を手入れし、リーズナブルな料金で楽しめるホステルにリニューアル。大正末期に建築されたと言われる同施設は、細かい箇所までデザインが施されていて、訪れる人の目を楽しませる。現在は、国の登録有形文化財に登録されているほど。純和風の建築物には、ヨーロッパを中心に全世界からの旅行者を集める。

写真:ケイズハウス伊東温泉フロント 多くの利用者に丁寧に使われている施設多くの利用者に丁寧に使われている施設

「日本人と異なって、ヨーロッパを中心とした外国人旅行者は、その建物の歴史をリスペクトしてくれる。大事に使われている施設には彼らは敬意を払って接してくれる。」

そう話すのは、同館のマネージャーである岡部正郎さん。岡部さんは多くの外国人旅行者とコミュニケーションを取るのも大きな仕事のひとつと話す。実に8割以上が海外からの旅行者だという。

写真:ケイズハウス伊東温泉 マネージャー・岡部正郎さん同施設のマネージャー・岡部正郎さん

「ヨーロッパを中心に、北米や南米など世界中を旅行する人たちが毎日やってくる。スタッフたちは、自身も1人で海外旅行を経験した人間ばかり。だから困った人を手助けしたい、という気持ちがスタッフたちにはある。明日行く旅先の経路や、伊東で食べられるおすすめの店など、さまざまな質問が多い。言語はもちろんのこと、その人の不安や困ったことを受け入れ、しっかりと問題解決するというコミュニケーションが必要です。」

ケイズハウスに多くの外国人観光客が訪れる『コツ』について「言語的な問題ではなく、いかに気持ちでウェルカムと思えるか。シンプルだけど、とても大事なこと。相手の立場に寄り添えることがコミュニケーションだと思っている。ほかの施設に比べて、その点はスタッフたち全員で意識している」と明かす。

その気持ちは旅行者に受け入れられ、国内外の旅行クチコミサイトでも高評価を獲得。クチコミによる反響も大きく、年間の延べ宿泊数は1万泊を超えるという。

一見インバウンドの成功事例と見える同施設だが、実は2つの悩みを抱えていた。それは「満足のいくWi-Fi設備」と「増えるアジア圏旅行者とのコミュニケーション」だった。

「現在、海外から訪れる旅行者にとってインターネット接続は、旅行選びの重要なポイント。シャワーやエアコンと同じくらいの重要度になっている。多くの利用者は、日本の自然や風景を求めてやってくる。伊豆には自然溢れる景色が多く、海と山の自然が一箇所に楽しめる部分に人気が集まっている。しかし、その情報をFacebookやInstagramなどのSNSに発信しようとしても、十分な情報発信設備がないと疎まれる対象になってしまう。海外に比べて日本、そして都心に比べて地方はその意識が薄いかもしれない」と岡部さん。

写真:ケイズハウス伊東温泉 利用者ひとりひとりに丁寧に説明する

岡部さん自身で構築したWi-Fi設備は、家庭用の機器を使った環境。岡部さんは「電波の弱い部分が多発するだけでなく、夕方から夜など利用者が増えることで速度のばらつきが起こり、人によっては入れないことも。例えば同じラウンジにいても速度が異なり、また利用できない人がいると、安心してくつろぐことができない」とかねてから困っていたと話す。

100台同時のアクセスが可能!
安定した通信を実現するWi-Fi機器を設置

写真:ケイズハウス伊東温泉 電源から遠くても設置が可能

今回その問題を解決するために、バッファロー(愛知県)は、業務用Wi-Fiアクセスポイント「WAPM-1750D」を提供。同製品を使い、施設内のWi-Fi環境を一新した。

WAPM-1750Dの大きな特長は、教育現場向けにも設計・開発されたため、最大100台までのタブレットの同時接続が可能である点。家庭用のWi-Fi機器はおおよそ20台程度が限界だったが、宿泊施設など多くの利用者が一度に接続してもネット環境を享受できる部分に強みがある。

そして、同製品は公平通信制御機能を搭載することによって、多台数の接続時に通信速度の不公平感を低減。利用者を満足させる環境を実現した。

また、同製品はPoE給電にも対応しているため、電源の近辺に設置する制限もなく、自由な場所に設置が可能。登録有形文化財の施設など設置・工事にデリケートな場合でも、自由で効率的な設置ができるようになった。

写真:ケイズハウス伊東温泉 WAPM-1750D

設置・設定を行ってから約半月。岡部さんは「今まで週末や海外の連休前など多くアクセスのある日は、ネットが止まってしまう事態があり、その都度アクセスポイントを特定しながら電源の抜き差しを行っていた。原因がわからなくなると回線装置の主電源を抜くという危険なことも何度も。新しいWi-Fiになってからは、ネット環境も安定し、トラブルも皆無になった。またひとつのSSIDに統合する設定も行い、同じIDで館内どこでもアクセスすることが可能になり、利用者にとっての便利さが増えた」と話す。

「おもいでばこ」でスタッフがタイムリーに作る写真・動画のインフォメーションを実現
旅行者とのコミュニケーションツールとして実験開始

写真:ケイズハウス伊東温泉 おもいでばこ

今回この問題の解決のほか、両者は整備された新しいWi-Fi環境を業務改善にも活用するため新しい「実証実験」を開始した。それがバッファローのデジタルフォトアルバム「おもいでばこ」のインバウンド向けの利用テストである。

「おもいでばこ」は、従来パソコンに取り込んでいたデジタル写真を気軽に楽しく整理・閲覧できるように開発された商品。USBやSDカード、Wi-Fiなどのネットワークなどから写真や動画を取り込み、パソコン不要で気軽に誰でもテレビやスマホ・タブレットの操作で写真や動画をアクセスすることを目的としている。今回はこの「おもいでばこ」を応用してビジネスユース、特にインバウンド観光に向けたテストを行うことになった。

写真:ケイズハウス伊東温泉 タブレットの制作を担当した沖本さんタブレットのスライドムービー制作を担当した沖本さん

現在は中国語に詳しいスタッフや事例をもとに、同施設の注意書きを制作し印刷、館内の利用ルールを共有している。「近年特に中国や韓国、台湾やタイなどのアジア圏の旅行者が非常に多くなっている。国別で見ればこの1年の1番の利用客は中国の旅行者。爆買いブームが終了し、現在多くの中国人旅行者は地方の観光地に目を向け始めている。しかし、中国を中心としたアジア圏の旅行者は日本語や英語を十分に使いこなす人が少なく、またホステルやドミトリー、日本の温泉文化を十分に理解した人は多くない。今後どの地方においても、アジア圏の旅行者が増えると考えられる。わかりやすくて、お互いの理解が深まるツールが必要となってくると思っている」と岡部さんは見据える。

同施設スタッフの沖本千里さんも同様の悩みを抱えていて「例えば施設内の鍵は日本古来の方式の鍵を利用している。解錠する場合は鍵を外して扉を開くのだが、文字だけでは理解が難しく、鍵を刺したまま扉を開こうとする利用客もあり。何度か鍵を破損する事例も。またセルフサービスの多い施設だが、従来のホテルや旅館のようなサービスを想像してしまう人もいる。提供するサービスなども微妙な言語のニュアンスの違いでコミュニケーションにズレが生じる」と振り返る。

今回、おもいでばこには、今まで外国人旅行者に説明をしてきた注意書きに、全て写真やイラストを挿入した画像を作成。作成はケイズハウスのスタッフ自身で行った。また鍵の開閉や、布団の敷き方などはスタッフ自身が出演するムービーを作成。今回構築したWi-Fiネットワーク上におもいでばこを接続し、館内のどこでも閲覧が可能になるように設置した。

写真:ケイズハウス伊東温泉 タブレットでもすぐに制作できる

施設内には3台のタブレット端末を用意し、2台を来場者に向けてスタッフが説明する端末とし、1台を多くの人が集まるラウンジに設置。来場者自らも不明な点がある場合に閲覧するように工夫を行った。

設置後について沖本さんは「写真や映像、イラストにすることによって、文字を並べた説明よりも、相手に伝えようという気持ちが伝わるようになった。それまでは布団のシーツを正しく使われない人もいたが、シーツの使い方を理解してもらえた」と振り返る。

また、今回の画像の制作には、PowerPointとiPad専用アプリ「POPKIT(ポップキット)」もテスト使用。沖本さんが可能性を感じたのは、翻訳機能である「セカイPOP」機能。同機能は、翻訳依頼をするとインターネットを通してネイティブな翻訳者が人力で翻訳を実行。日本語から英語はもちろん、中国語や韓国語など11ヶ国語に対応する。

写真:ケイズハウス伊東温泉 動画の再生でわかりやすく説明

沖本さんは「日本語から中国語など微妙なニュアンスが気になるときに利用したい。また、翻訳依頼をしてからわずか数分で結果が届いたのには驚いた。今日のおすすめなどを紹介したりなど、タイムリーな要望にも応えられると感じた」と話す。

実証実験はまだ始まったばかりで、今後は同施設で使用した要望などをピックアップし、より展開しやすいサービス事例を作り上げていく予定。

コストを圧縮し「つながる」ハードルがもっと簡単に
お互いの気持ちがつながるコミュニケーションが手軽に

通常の業務用ネットワークを構築したデジタルサイネージのようなインフォメーションを行う場合、独自のセッティングや環境構築が必要で、大きなコストになる場合もあり、掛かるコストは、経営面でも課題となる。しかし、今回紹介した「おもいでばこ」を利用すれば、何分の1にコストを圧縮する可能性を秘めている。

岡部さんは「ホステルのように多くの人が行き交う場所だと、部屋ごとにタブレットを設置するとリスクが高い。今回のシステムを利用すれば、利用客自身のスマートフォンやタブレットで簡易的に「おもいでばこ」にアクセスするといったアイデアも考えられ、コストもリスクも下がる」と話す。

写真:ケイズハウス伊東温泉 新しいインフォメーションについてアイデアを広げるスタッフたち新しいインフォメーションについてアイデアを広げるスタッフたち

今後については「旅館のインフォメーションだけでなく、旬の情報を早く、簡単に提供できるはず。また飲食店や魚屋などのおすすめも、画像で伝えることが可能。旅行者からも写真をもらうなど、ただのインフォーメーションにかぎらず言葉の壁を越えて、地域ぐるみで外国人旅行者とのコミュニケーションができると感じた」と話す。

インバウンドビジネスには、ただ設備やインフラを整えるだけでは不足で、双方向が繋がるコミュニケーションが大事。言葉の壁を恐れることなく、相手に寄り添った気持ちを持つことと、不安や不満を解消する努力が、今後の外国人旅行者への対応に求められているかもしれない。

2015年には2000万人に達する勢いとなり、ますます外国人旅行者の人気が高まる日本。今までは、都市部が旅行先の中心でしたが、今、「地方」が注目を浴びようとしています。
外国人旅行者と各地方が、バッファローの技術で「つながる」ストーリーを紹介します。

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