伊豆の国市にある「真宗大谷派 正蓮寺」(伊豆の国市江間)の寺院前に現在、「New縁おめでとう」と書かれたメッセージが掲示されている。
1603年に、小田原から移り住んだ渡邉半左衛門が僧侶となり、近隣の寺院の本堂を移したといわれている同寺。現在は20代目の住職である渡邉元浄さんが、同寺と共に「しょうれんじこども園」(同)の運営も行っている。
掲示板は寺院玄関と、こども園に面する県道の2カ所に設置されている。掲示板を見た伊豆の国市在住の女性は「最初は何を言っているか理解できなかったが、読み返してみると新しいご縁についてメッセージを出していると分かった。毎週メッセージがひねった感じが好きで、毎週どんな言葉になるか気になっている」と話す。
今回のメッセージについて、渡邊さんは「3月に掲示した『君に卒縁(そつえん)はない』のメッセージに対しての返答として書いたもの。卒園・入園シーズンにちなんで考案した。人のご縁は広がるものとして、掲示板のメッセージとして選んだ」と笑顔を見せる。
以前から同寺には掲示版があったが、渡邊さんが掲示版を頻繁に掲示版のメッセージを更新し始めたのはおよそ3年前。新型コロナウイルス感染症の影響で、園児や保護者、檀家住民とのコミュニケーションが薄くなった時期だという。
毎週月曜の朝に更新している。渡邊さんは「日曜の夜、眠る前に30分程度で考える。A4程度の半紙にメッセージを書き、パソコンに取り込んで印刷をする。継続するためにパソコンや機械を使って作業手順を軽減している。お寺のDXと言ってもいいと思う」と笑う。
メッセージを考える時は「多くの人に大きい声で伝えるのではなく、一人一人に語りかけるように心がけている」という。「お寺は地域のコミュニティとして機能するのはもちろん、苦しみや孤独になる時、居場所を提供できるような存在でありたいと思う。メッセージを見て、それぞれの課題に向き合える掲示版であれば」とも。