飲食店「五代目小松ひものや」(沼津市下香貫)が7月1日、オープンした。
干物の加工・販売を行う1912(大正2)年創業の「ヤマカ水産」(沼津市志下)が経営する同店。7月1日の「沼津ひものデー」に合わせてオープンした。
トレーラーハウスを改装した店舗の面積は約40平方メートル。席数は、カウンター=8席、テラス席=20席。同社が製造・販売する沼津産の干物を遠赤外線で焼いて提供する。
メニューはコース料理で、前菜「季節の三種盛り合わせ」、わん物「焼津産鰹節と北海道産羅臼出汁(だし)茶碗(わん)蒸し」、アジやサバなどから選べる干物、ご飯、みそ汁、甘味「バニラ香る濃厚カスタードプリン」から成る「朱音」(1,800円)と、前菜3種、刺し身、グリル野菜、茶わん蒸し、干物、ご飯、みそ汁、デザートから成る予約制のコース「銀」(2,500円)を用意する。
同社5代目の小松寛社長は「祖父や父が経営していた時代、干物は時流に合っていて非常に多く食べられてきた。しかし現代はさらに簡単に食べられるものが増え、家で干物を焼くと煙や匂いを嫌がる人も増え、食べた後のごみの処理が面倒であるこなどを背景に、干物を食べない人が多くなってしまった。ただ、干物が嫌いなのではなく、『焼いて提供してもらえるのなら食べる』という意見もあることを知り、干物を提供する飲食店を開いてみたいと5年ほど前から考えていた」と話す。
料理長の野田侑秀さんは「静岡県内、できれば県東部の食材を積極的に使っていきたい。干物に心を込めて提供したい」と話す。
小松さんは「干物屋をやめたいと思い悩む時期もあったが、奈良時代に宮廷への献上品や租税として納められていたという干物の文化を自分の代で途絶えさせてはいけないと思った。干物を食べたことない人や、昔は食べていたけれど今は食べていない人にも足を運んでもらえたら」とも。
営業時間は9時~17時(7月下旬から夜の営業も予定)。火曜・水曜定休。