熱海銀座商店街にあるカフェ・CAFERoCA(=カフェロカ、熱海市銀座町)で10月26日、セミナーイベント「熱海市創業支援事業キックオフセミナー」が行われた。主催は熱海市商工会議所。
市内で創業を予定・希望している人を対象とした同セミナー。この日は、長野市善光寺周辺で空き家のリノベーションや若手創業者に場を提供する事業を手掛ける、不動産・建築設計施工会社「MYROOM」(長野県)の倉石智典さんをゲスト講師に招いた。
倉石さんは、大学で経営学を学び、首都圏で勤務後、地元長野にUターンした。地元の工務店で働きながら、雰囲気のある多くの古民家が空き家となって朽ちてゆく現状を見て、空き家の仲介とリノベーションを専門とする同社を立ち上げ、開業から4年で約60件の創業事例に携わった経歴を持つ。
倉石さんによると、同社では「エリアストックリノベーション」事業を展開しており、定期的に行っている「空き家見学会」をきっかけに移住した人が多いという。新規創業者の7割が移住者で、人気を集めているという。
「まず町を歩き、気になる空き家を見つけたら、謄本をとり、所有者と直接やり取りし、気になる空き家をストックしていくことから始まる」と倉石さん。
「さらに、空き家見学会を軸として、町を歩きながら、参加者にそれらの物件を紹介する。そこから、創業希望者にはリノベーションや空き家のあっせんだけでなく事業計画まで、町の人たちと共同して支援してきた」と話す。
同事業のポイントについて、「世界は農業革命や産業革命と同じ規模で、情報革命という時代の波にさらされている。その大きな波の中にいるからこそ、若手も中堅も、時代に違和感を覚えている。この違和感の解決策は、大家が若手創業者に『自由に使わせて、自分で全部やらせて、自信につなげ、自然にしておいて、ちゃんと空けてくれる』こと。使い手の力と不動産の力を、町を大切に思う仲介がかけあわせてゆくこと。それが町の魅力を高める創業支援の秘けつ」とも。
イベントには86人が参加した。今回セミナーに参加した女性は「現在ワインバーを開業しようと思い、ソムリエ修業を行っている。今回のセミナーに参加できてとてもよかった」と話していた。
熱海市では今後、創業支援策の一環として、商工会議所に空き店舗情報の提供依頼や相談をしに来た市内の創業希望者を対象に、物件情報を提供する仕組み作りに取り組む予定という。
同セミナーをコーディネートした「machimori」(熱海市)の市来広一郎さんは「今後当社でも、熱海での創業希望者や熱海に関心がある人を対象として、空き家ツアーを開催する。来月12月の開催を目指して、現在準備を進めている所。今回のセミナーを皮切りに、熱海を創業希望者にとってもっと魅力的な町にしていきたい」と話す。
同事業に関する問い合わせは、熱海商工会議所(055-81-9251)まで。