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西伊豆町で「潮かつお」生産ピーク 1000年の歴史を持つカツオの伝統飾り

塩漬けし、乾燥させている潮かつおと、完成品の潮かつおを持つ芹沢さん親子

塩漬けし、乾燥させている潮かつおと、完成品の潮かつおを持つ芹沢さん親子

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 カネサ鰹節商店(賀茂郡西伊豆町)で現在、西伊豆伝統の保存食「潮(しお)かつお」の生産がピークを迎えている。

【関連画像】塩漬けにされ、西風で乾燥されるカツオたち

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 西伊豆地方に伝わる保存食「潮かつお」の歴史は古く、平安京に税として納められた文献もあり、1000年以上の歴史を持つ。同社の5代目・芹沢安久さんは「薫製・乾燥した現在広く知れ渡っているかつお節の歴史も350年程度ということもあり、カツオを使った調味料としては最も古い部類にある」と話す。

 潮かつおの製造方法は、カツオの内蔵を取り除いた後、10日ほど塩漬けして寝かす。その後田子の港から、この季節あたりから吹いてくる西風に2週~3週間ほどさらして乾燥。最後に口からワラをエラに通し、完成となる。

 西伊豆地域では、一本干しした潮かつおのことを「正月魚(=しょうがつよ)」と呼び、縁起物として重宝する風習がある。三が日は神棚に飾り、4日以降にあぶりや酢漬け、調味料として使う。地元漁師の中には、正月に船長が振る舞う潮かつおを食べることで、1年間の雇用を契約する儀式に使ったというエピソードもある。

 潮かつおを作り続けて60年以上になる4代目の芹沢里喜夫さんは「50年程前までは、潮かつおを作るかつお節を取り扱う業者は多く存在していたが、現在は自身の店のみ。正月用の風習も人口減により、この地域のみの風習に限定されてきた」とも。

 「通販や物産展で販売されている、真空パックの半身潮かつおは乾燥機で作られることもあるが、1本の大きい物は縁起物として重宝され縁起物。また1本は身も大きいことから伝統的な干し方で乾燥させている」(安久さん)。

 安久さんは「潮かつおの歴史ある文化や伊豆の風習などを大事にしていき、生産を続けていきたい。そのためには、地元の子どもたちにも正しく文化と魅力を伝え、人を中心に盛り上がっていければ、きっと伝承していくと思う」と話し、潮がつお作りのためにさまざまな活動を行っている。

 今年は約1000本生産する予定で、地元の民家などに飾られる予定。通販や地方発送も受け付ける。中心価格帯は3,000円~3,500円。

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