三島市は9月7日、佐野美術館(三島市中田町)の企画展「名刀は語る 磨きの文化」開催に合わせ、ゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」とコラボレーションすることを発表した。
同展は、11月12日から2017年2月19日まで開催。ゲームのキャラクターとして登場する戦国武将の本多忠勝が愛用したことで知られるやり「蜻蛉切(とんぼぎり)」と伊達家伝来の重要文化財の短刀「太鼓鐘貞宗(たいこかねさだむね)」が展示されることから、女性を中心としたゲームのファンが多く来場することを見込み、三島市と、ゲームのライセンスを管理するニトロプラスが共同で実施する。
「刀剣乱舞-ONLINE-」は、名だたる刀剣を擬人化した「刀剣男士」を収集・強化し、合戦場の敵を討伐していく刀剣育成シミュレーションゲームで、2015年1月にパソコン版の配信がスタートした。2015年1月に佐野美術館では11年ぶりに「蜻蛉切」が公開されたが、ゲームの流行も引き金となり、1万人以上が来場し話題となった。10月からはアニメの放送も予定されている。
今回展示される「蜻蛉切」は、天下三名槍(そう)一つとして有名で、沼津市の所有者が一昨年佐野美術館に寄託した。やりの特徴は「大笹穂槍」と呼ばれる幅広いササの葉のような豪壮な形状で、梵字(ぼんじ)や不動明王が持つ三鈷柄剣が端正に彫刻されている。作者は室町時代の刀工・藤原正真。村正の弟子とも言われている。
「太鼓鐘貞宗」は鎌倉時代の有名刀工・正宗の子または弟子として知られる名工・貞宗の作とされる小ぶりの短刀で、「太鼓鐘」という町人が所持していたことからその名があり、江戸時代初期に徳川秀忠から伊達政宗に贈られたという由緒を持つ。
個人が所蔵する「太鼓鐘貞宗」を佐野美術館が借用して展示するのは5年ぶり。今年6月にゲームのキャラクターとして登場してからは初公開となる。