国際観光専門学校熱海校(熱海市中央町)で3月11日、「ATAMI2030会議」が行われた。
地元の官民連携事業の一環として、「2030年の熱海の未来」を考えようと、地域資源を活用しながら、将来抱えると見られる課題の解決を図る同会議。
各ジャンルの専門家を招き、これまで1年間、「不動産と暮らし」「食と農」「ツーリズム」など5つのテーマで話し合ってきた。
最終回となる今回は、これまでに取り組んだ課題を振り返り、42人の参加者が25のまちづくり案を発表した。
提案では、旅館業の雇用をフォローする女性専用シェアハウスや、純喫茶型のイタリアンバル構想、まきを使った温泉ボイラー設置など、市内の魅力を生かすアイデアが並んだ。
会場では、感極まって声を詰まらせた発表者に、周囲の参加者が温かい声援を送る一幕も見られた。参加者の一人は「1年間会議を行ってきて、どの参加者も皆同じ気持ちで、仲間として声を掛けたくなった」と話す。
発表会後は、熱海リノベーションまちづくり構想検討委員会座長で「アフタヌーンソサエティ」(東京都千代田区)社長の清水義次さんが、斎藤栄熱海市長に、この日の発表をまとめた提案書を手渡した。
斎藤市長は「多くの人が自分らしい暮らしを考え、この街を目指していると実感した。熱海はこれまで、外部の人たちが発展させてきた町と思っている。それは熱海が外部の人々を受け入れる気持ちがあったから。今回の事業をきっかけに、内と外が一体となって熱海を盛り上げていければ。提案から実行できることはサポートしたい」と話す。
清水さんは「25の提案は、実行に移していこうという決意表明も聞こえ、この環境を作った熱海の土壌に感動した。熱海には空き家や遊休林、高齢化や人口減少など課題もあるが、その全てが町の資産であることを気付かせてもらった。官民、老若男女、境目のない発展に期待したい」と話す。