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函南・畑毛温泉に温泉旅館「誠山」 沼津出身男性が「静かな環境」売りに

名物のギョーザとショウロンポーを手にする山本さん親子

名物のギョーザとショウロンポーを手にする山本さん親子

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 函南・畑毛温泉に2月1日、温泉旅館「伊豆畑毛温泉 誠山(せいざん)」(函南町畑毛)がオープンした。

 畑毛温泉は函南町に存在する温泉街で、源頼朝が軍馬を癒やすために同地に訪れ、温泉につかったという言い伝えが残っている。同地は古くから湯治場としても知られ、1962(昭和37)年には国民保養温泉地に指定された。

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 同地域は1960年代の全盛期には20軒近くの温泉宿が立ち並んでいたが、高齢化による事業継承やレジャーの好みの変化により、現在は3軒の温泉宿を残すのみとなっているという。

 同館はかつて「高橋別館」として営業していた建物を改修した同館地面積は約2200平方メートルで、800平方メートルある2階建ての建屋には11の和室があったが、1階の客室は全て洋室に変更した。洋室は全て異なるテーマで壁紙を2階は和室の雰囲気を生かした内装に変更し、宴会場だった広間はドミトリーとして活用。3,500円から宿泊できる価格帯を設定した。

 同旅館を引き継いだのは、山本龍太郎さん。山本さんは沼津市出身で、旅館業を経営している両親の長男として生まれた。道徳科学の研究者として研究所に在籍後に、飯田橋でカフェ「金のオリーブKUON」(東京都)をオープン。その後、ギョーザ好きが高じてオープンした餃子専門店「PAIRON」(同)は、皮の食感などのこだわりが評価され、メディアにも取り上げられた。現在は飯田橋を中心に6つの店舗運営を行っている。

 山本さんは「東京で仕事をしていた時、父から事業継承の話があったが、その当時は伊豆で働くというイメージが湧かなかった」と話す。

 今回の旅館の譲渡があったのは、およそ2年前。昨年の6月に購入し、半年間の工事を経てリニューアルオープンした。「前の経営者が残してくれたものを最大限活用し、名残をとどめたかった」と山本さん。大きな柱時計など昔ながらの面影の残す品々は現在も飾られている。

 「この場所を選んだ理由は泉質の良い温泉と、静かな環境。温泉街といえば、飲み屋や遊ぶ場所などがあり、歓楽街に近いイメージ。しかし、ここには逆に何もない。静かな環境で良質なお風呂に入り、じっくり気持ちを癒やせる場所。東京から70分で来られるのも魅力」とも。

 2月1日にオープン後も改装を続けていて、3月には露天風呂が完成する予定。露天風呂からは天気の良い日には富士山が見られるという。「静かな環境だからこそ、この静けさをじっくりと楽しんでもらいたい。環境を前面に打ち出すため、全室へのテレビ設置も取りやめた」と山本さんも

 食事メニューは、セットメニューや焼き肉メニュー(要予約)のほか、山本さんがカフェ時代に考案したという「KUONカレーセット」(900円)、白龍ギョーザセット(750円)、ショウロンポーセット(900円)など。

 東京と伊豆を往復しながら同旅館の運営を行う山本さん。現在は両親とスタッフたちで旅館の切り盛りしている。

 山本さんは「多くの人が訪れるというよりも、この土地とこのお湯の魅力を知ってもらえれば。今の時代に合った湯治場のスタイルを提案していきたい」と意欲を見せる。

 日帰り入浴(2時間=540円)にも対応する。日帰り温泉営業時間は7時~23時。