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修善寺駅前に「旅の図書館」 地元住民に向け「伊豆の魅力」知るきっかけに

『しろばんば』の初版本を持つ長倉さん。貴重な絶版した専門書なども取り扱う

『しろばんば』の初版本を持つ長倉さん。貴重な絶版した専門書なども取り扱う

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 修善寺駅前にある長倉書店(伊豆市柏久保)が5月15日、私設図書館「旅の図書館」を開設した。

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 開設した図書館は10坪ほどで、以前までは書店の倉庫として使っていたスペース。内装は全て天城山のスギやヒノキなどの木材を利用し、木のぬくもりを重視。図書館には、郷土や歴史の専門本、観光ガイドブックや伊豆出身の作家・井上靖の小説作品の初版本など約500冊の冊子を並べる。

 同店は現在の店主である長倉一正さんで3代目になる老舗の書店。書店のほか郷土に関する出版も行っているのも特徴の一つ。「たまたま歴史に残る本を作るに当たって、自身が本屋だったので依頼されることが多かったと聞いている。祖父も父も自身も、本を販売するだけでなく出版にも携わってきた」と長倉さん。

 祖父から受け継いだ冊数はおよそ2000冊。長倉さんは「祖父は伊豆に関する冊子などを収集するのが好きで、その多くは現在も眠ったまま。現在は貴重な資料になるものから、自身が編さんした本など、今は手に入らないものなど多数。それを多くの人に読んでもらいたいと思った」と設立のきっかけについて話す。

 図書館の利用に関して「地元の人に来てほしい。伊豆には文化や自然、温泉など他の地域に比べて潤沢な資産を持っている。地元に住んでいると当たり前と思うが、この本たちに触れ、その魅力を再確認し、情報を発信していってほしい」と話す。

 館内の本は全て閲覧可能。現在は閲覧のみになっているが、将来的には一部の本に関しては貸し出しを行いたいと考える長倉さん。「例えば井上靖の『しろばんば』を実際の天城に持ち込んで読むと、世界が大きく変わる。その情景や匂いなども再現されるような鮮やかな感覚にも。その感動をぜひ体験してもらえるようにしたい」と新たな読書体験を提案する。

 営業時間は9時~18時。

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