伊豆箱根鉄道駿豆線で運用している「ハートのつり革」が現在、テレビドラマに登場し話題となっている。
ハートのつり革は、TBS系テレビドラマ「ごめんね青春」で「2人一緒につかんだ男女は永遠に結ばれる」という都市伝説と共に登場。作中では、原平助(錦戸亮さん)と蜂谷りさ(満島ひかりさん)が電車内で一緒にハートのつり革をつかみバランスを崩す「壁ドン」シーンが話題に。放送後、「ハートのつり革」の存在が話題になり、ネット上で急上昇キーワードの上位に上がった。
伊豆箱根鉄道広報課の志村博さんは、実際のハートのつり革について、「ドラマ前から実在し、運用車両の1両に設置していた」と話す。
同鉄道では現在、整備中の車両を含めた10両の電車を運行しており、つり革の総数は約2000本。ハートのつり革はその中でたった1本だけという。志村さんは「探すのは厳しく、私たちもどのダイヤの車両に入っているのか分からない」と話す。
ハートのつり革企画はドラマの放送前の2010年から始まり、今年で4年目となる。同鉄道企画室の小野正貴さんは「私鉄各社で集まる懇親会のとき、飲み会のノリで話が始まったのがきっかけ」と振り返る。
同企画は当初、伊豆箱根鉄道・駿豆線と大雄山線、富士急行(山梨県)・富士急行線の3路線で開始。現在は同取り組みに賛同した全国13社の私鉄車両内に「ひっそりと」設置されているという。
小野さんはひっそり設置した理由について、「広告や宣伝などを積極的に行わないことを唯一の取り決めとして活動している。謎があったほうがミステリアス。実際に見た人がどのように感じて拡散してくれるか、また想像を広げてもらい、話題に上がってくれるのが目的」と話す。
ハートのつり革はジュラルミン製の特注品。製作日数や費用などについて、小野さんは「ご想像にお任せします。細部については実際に見た人の楽しみにしてくれれば」とほほ笑む。
同鉄道では「よりミステリアスな仕掛けにしたい」とハートのつり革設置業務を1人に任せており、管理運用を行っている。
現在の「ハート型」は2代目といい、2012年から設置業務を行っている渡邉孝幸さんは「つかんだ人には幸せになってほしいとは思っているが、過度なプレッシャーにならないよう、あえて何も考えず無心で設置している」と笑顔を見せる。
同鉄道には現在、ドラマの影響で問い合わせが多く集まっているという。「年月は掛かったが、ハートのつり革効果で注目度もアップした。今後も乗客それぞれにストーリーが生まれてくれれば。活動を全国に知ってもらたい」と小野さん。渡邉さんも「話題が広がり、実際の恋愛成就報告を聞いてみたい」と話す。