三島市を中心に演劇活動を行っている「劇団ひだまり」の日頃の活動が認められ、1月20日、三信福祉協会の「社会福祉活動助成金」が授与された。
2013年5月に旗揚げした同劇団。主宰する保育士の野田浩美さんが、特別支援学校の教諭として長く三島地域の障がい児の教育に当たってきた柳詰けい子さんと出会ったことがきっかけ。
柳詰さんは教員時代に演劇やオペレッタを通して、障がいを抱える子どもたちが達成感や自己肯定感を得られるという効果があることを実感。しかしながら、卒業後に演劇を継続できる場所が地元にないことなどから、スクールカウンセラーや演劇経験者など女性6人が発起人となり立ち上げた。
発起人の一人である村岡純子さんは「参加者は、性別、年齢、国籍、障がいの有る無しは不問。教える、教わるの垣根が無く、それぞれのメンバーの個性を生かして劇を創り上げている」と劇団の特徴について話す。
立ち上げ当初は10人程度だったメンバーは、現在では約20人に増えた。小中学生を中心に、幼児から60代の男性まで多様な団員で活動している。
今回劇団が受けた助成は、静岡県東部・伊豆の同信用金庫エリア内で障がい児・障がい者の福祉向上に向けた活動に取り組む団体に贈られるもの。今回助成を受けた27団体のうち、同劇団は唯一文化活動を主として行う団体として授与された。
発起人の一人、佐野裕美さんは「申請書を書く時には『劇団』と書かない方がいいのでは、というアドバイスもあったが、障がいのある無しに関わらず活動をする姿勢がきちんと評価されてうれしい」と喜びを語った。
団員の小学6年生の男児は「去年の5月に公演を見て演技をしたくて自分から参加した。せりふを読むのが楽しい。悪役に挑戦してみたい」と話す。
生きづらさを抱える子どもが劇団の活動をする中で、学校に行けるようになったり、自分の思いを伝えられるようになったりするなどの変化も見られたという。
授与された助成金は講師の派遣などに使い、「誰もが安心して参加できる環境をつくること、そして、より高いレベルの演劇活動を目指していきたいと考えている」という。
次回公演は5月9日を予定。「これから公演に向けて本格的に稽古をしていきたい」と村岡さん。