西伊豆町でキャンプ場の運営などを手掛けるVillageInc(=ヴィレッジインク、下田市)は8月28日、旧南豆製氷所跡地(下田市)で「NanZ VILLAGE Project meeting」を開催した。
同プロジェクトは、同社が旧南豆製氷所跡地の約500平方メートルの敷地に、商業施設を中心とした施設を建設する計画。施設内には、マルシェ(市場)、ブイヤベース専門店などのレストラン、若い起業家や都心のサテライト機能を担うオフィスなどの機能を入れる予定。
旧南豆製氷所は1923(大正12)年に建設された製氷施設で、伊豆石を使った初期冷蔵施設。2004年2月に閉鎖され建設物の保存・解体が注目されていた。2006年に財政難だった市が2年後の買い取る前提で、会社を経営する田中俊昭さんが地域に協力する形で取得。しかし市が買い取る予定が途中で頓挫し、施設の老朽化や維持費などの問題もあり、今年2月に取り壊された。
田中さんは「自らリスクを背負って、街と自社を盛り上げようという気持ちがあり、若い人の元気をけん引してくれる企画だと感じた。駐車場やコンビニなどの提案もあったが、経済活動が活発化し、下田が活性化する提案をもらい、このプロジェクトを選んだ」と話す。
今回の発表会では、楠山俊介下田市長をはじめ地元下田に関係する50人ほどが参加。同社の代表である橋村和徳さんは参加者を目の前に同事業の経緯と計画、現在制作中の設計図の一部を公開し、来年春のオープンを目指すと発表。橋村さんは「下田に観光客やサテライトオフィスで働く人を増やし、地域の特性を生かした場をつくりたい」と話す。
今回の事業に関しては、全資金の60%を「伊豆下田 南豆ヴィレッジファンド」としてファンドを通じて資金を調達する。調達予定資金は3,000万円で、1口3万円から募集する。ファンドに関して同社はミュージックセキュリティーズ(東京都千代田区)と業務提携。ミュージックセキュリティーズ社のサイトを通じて資金調達を行う。
ファンドは5年で償却され、分配金のシミュレーションとして125%を目指すという。ミュージックセキュリティーズ社証券化事業の猪尾愛隆取締役は「キャンプ場のファンドとしては初。今回のきっかけは、地域の人たちがこのファンドを通して応援する形をつくりたいという思いから。今回はファンドを通して全国に知ってもらい、資金調達するツールという側面とは異なり、多くの地域の人たちの応援が形となってくれれば」と話す。
今後について、橋村さんは「今後も完成するまで定期的にここでミーティングを考えていて、次回はブイヤベースの試食会も行う予定。下田の自然やアクセスの良さという利点を生かし、この施設から多くのものが生まれてくれれば」と話す。
次回イベントは9月25日を予定。