港口公園(沼津市本字千本)で11月1日、杉原千畝夫妻顕彰碑の除幕式が行われた。
杉原千畝(ちうね)は、第2次大戦中リトアニアに駐在し、ナチス・ドイツの迫害から逃れたユダヤ人に「命のビザ」を発給して多くの命を救った外交官。妻の幸子(ゆきこ)さんは沼津市生まれで、一家はルーマニアで終戦を迎え、抑留生活を経て帰国し、沼津市香貫の親戚宅に4カ月ほど仮住まいをしていたこともある。
千畝の生誕120年と、命のビザ発給80年の節目となる今年4月に「命のビザ・杉原千畝夫妻顕彰会」が発足。クラウドファンディングで資金を募り、夫妻の顕彰碑を建立した。千畝単独の顕彰碑は世界各地にあるが、夫妻の顕彰碑は世界初だという。
顕彰碑は白御影石製で、高さ1.5メートル、幅1.3メートル。中央に夫妻の肖像レリーフが彫刻され、台座には幸子夫人の短歌と千畝の言葉が記されている。
同会代表で長興寺(沼津市大塚)住職の松下宗柏さんは「5年前に沼津で千畝のパネル展が行われた時に、幸子夫人が沼津生まれということを知った。その後、禅のセミナーでリトアニアを訪れた際、現地には千畝の大きなモニュメントがあったり、公園や道路に千畝の名前が使われたりしていることを知った。海外では知名度は高いが、国内では低い。今回の石碑で沼津にゆかりのあることを市民に知ってもらいたい」と話す。
今後について松下さんは「顕彰碑で完結ではなく、背伸びせず無理のない範囲で毎年1回は講演会やツアーなどを行いたい。リトアニア大使は沼津をとても気に入ってくれた。リトアニアと沼津は海辺のまちという共通点があるので、交流を深めていけたら」とも。