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松本清張地図帳に「天城越え」加筆 地元学芸員たちが執筆協力

「本を読んで想像の旅館を楽しんでほしい」と話す徳山さんと大平原さん

「本を読んで想像の旅館を楽しんでほしい」と話す徳山さんと大平原さん

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 「地図で読む松本清張」が12月18日に、帝国書院から加筆出版された。

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 同書は2010(平成22)年に出版した「松本清張地図帖(ちょう)」の増補版で、ミステリー小説の大家・松本清張の代表作「点と線」「ゼロの焦点」「砂の器」など全11作品の舞台を地図と共に解説している。

 巻末には、昭和30年代の「中学校社会科地図帳」を復刻し清張作品ゆかりの場所を記した地図や、「清張作品と鉄道」「清張映画・ロケ地探訪」などのコラムも収録。増補として新たに「天城越え」を追加した。「天城越え」は清張版「伊豆の踊子」ともいわれる小説で1983(昭和58)年には映画化もされている。

 企画・編集を担当した帝国書院の大平原寛さんは「前回の地図帳はコアなファンに好評いただいたが、もっと多くの文学ファンに読んでもらいたいと思い、増補版は書店の文学コーナーにも置きやすく平積みもできるA5サイズにし、中は縦書きにした」と話す。

 「天城越え」部分は今年7月に、井上靖文学館(長泉町東野)徳山加陽さんに執筆を依頼。9月頭から書き始め、その後書き直し会議を経て完成させた。

 徳山さんは「最初にお話を頂いた時はびっくりした。当時は産休中だったが、またとないチャンスだと思って引き受けた」と振り返る。「写真や地図で分かりやすく解説されていて文学好きには新鮮だと思う。ただ本を読むだけだと自分で完結してしまうが、地図に起こすと土地とつながる。天城越えが収録されたので静岡県民の方にもぜひ読んでほしい。コロナ禍で自由に旅行に行けないこの時期に想像の旅をしたり、いつか行ける時のために旅の計画を立てたりしてもらえたら」と呼び掛ける。

 価格は1,980円。電子版は 1章176円で章ごとに販売している。

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