沼津在住の美術家の田川誠さんと助手の深澤慎也さんがアップルの「Macの向こうから-日本でつくる」キャンペーンの静岡県代表のクリエーターとしてアップルのブランドアンバサダーに選ばれた。
このキャンペーンは、学生に向けて「どこにいてもMacコンピューターを使って創造性を発揮できる」というメッセージを、全国47都道府県のクリエーターとその作品で、CMなどで伝えるもの。
田川さんは長崎県出身で、長崎日本大学高校デザイン美術家卒業後、目に見えない大切なものを描くことをテーマに絵画作品の制作・展示、ワークショップなどを行っている。東京で活動時にSNSを通じて沼津市出身・在住の深澤さんと知り合い、共同制作を開始。2016(平成16)年3月に拠点を沼津に移した。
2018(平成18)11月、アーケード名店街(沼津市町方町)で行われた社会実験「アルコミチ」では子どもたちと共に自動車に水溶性チョークのキットパスで絵を描くワークショップを行った。2020年8月6日に広島で行われたイベント「Pray for Peace Colleciton 2020」では横6メートル、縦1.8メートルの絵画作品「Pray for Peace」も手掛けた。
今回のキャンペーンで紹介されているのは、2020年3月から約6カ月かけて制作した3部作の一つ「アンダルシア」。キットパスとリキテックス(アクリル絵の具)を使い、駿河湾の深海をテーマに水の精霊や深海魚、ピアノや笛などが描かれている。
田川さんは「コロナ禍で外になかなか出られないが、イマジネーションの旅をテーマに描いた。この状況だからこそ、先を明るくできるような作品にしたいと思った」と話す。
深澤さんは「CMを制作する際に撮影は千本浜で行った。この日は波が穏やかで、日の光が美しい時間帯に行うことができた」と振り返る。
これまでの作品は、暗い夜や闇の中に差す光をテーマにすることが多かったが、沼津に来てからは色彩表現が鮮やかになり光が満ちた作品が多くなったという田川さん。「今だからこそ描けた作品。表現者として自分たちも大変な状況だが、だからこそ描く。悩みがあっても先は明るくあることを信じるという一番大切なことに気付けた」とも。
深澤さんは「とても反響が多く、アップルのワールドワイドな影響力を感じた。コロナ禍で大変な時期だが前向きなメッセージに共感してもらえたら」と笑顔を見せる。