沼津市大手町にある空きビル「かとう靴店」で10月3日、内覧会「ピザと卓球とビル」が行われた。
同ビルは1979(昭和54)年に建築され、靴店として営業。その後2011(平成23)年に閉店した後、倉庫として利用されていた。延べ床面積は238平方メートルで、2~4階部分は住居として利用されていた。
内覧会「ピザと卓球とビル」は、沼津市が駅周辺の空きビルを活用して居住促進を促す「まちなか移住促進事業」の一環。同ビルの利活用をオーナーとの間に、市と「レイバー建築設計事務所」(沼津市戸田)と「勝亦丸山建築計画」(富士市)が入り、新しい居住者を探していく取り組み。
この日は、ビル1階部分で、沼津市内で営業する移動式ピザ店やクラフトビール店が販売を行い、4階で、建物内にあった卓球台を使った卓球コーナーを設置。多くの人が見学に訪れた。
レイバー建築設計事務所の鈴木智博さんは「市役所から相談があったのがきっかけ。街の中心地を活用して新しい事業や居住者を作ろうと思い、今回の企画を考えた。私は設計のほかにゲストハウスの運営や伊豆西部の人脈があり、勝亦さんは設計のほかにシェアハウスや静岡東部に人脈がある。2人の強みを生かして沼津で活躍する新しい人材を発掘できたら」と話す。
同ビルは10月18日までにインターネットで利用者を募集し、面談を経て11月から翌3月まで仮利用として提供する。期間内の賃料は1万円(水道光熱費を除く)で、約5カ月の試用を行った後、4月から2人による審査・面談を経て正式の契約を行う。募集する人材や事業は特に制限を設けず、2人は創業支援のアドバイスなども行うという。
勝亦丸山建築計画の勝亦優祐さんは「ハードルを下げて多くの人のチャレンジを促す企画にしたい。ただハードルを下げるだけでなく面談や審査を設けることで、町を盛り上げる事業者に有効活用していく。沼津駅には遊休物件が多くある。この事例を通じて中心地を活性化するプレーヤーを増やしていきたい」と意気込む。