東平商会(駿東郡長泉町)の「ぎゅっとまるごとにんじんジュース」が10月8日、「ふじのくに新商品セレクション」の最高金賞を受賞した。
ふじのくに新商品セレクションは、静岡県産の農林水産物を使い、商品化2年以内の加工食品を対象にしたコンクールで、2021年度は過去最多の約110商品の応募があった。書類・試食・プレゼンテーション審査の結果、最高金賞1商品、金賞8商品が決まった。
同商品は箱根西麓で取れた「三島人参(にんじん)」を使った、ペースト入りの野菜果汁100%ジュース。同社社員が契約農家と協業で畑作りから取り組み、およそ4000平方メートルの畑で年間約20トンのニンジンを生産し、ペーストとジュースに加工している。2014(平成26)年から販売し、これまでに約32万缶を販売している。
同社の山本雅弘社長は「三島人参でジュースを作ろうとしたところ、最小ロットがニンジン20トン分だと分かり、ニンジン農家に20トン注文したところ、そんなに大量のニンジンを用意することはできないと断られたため、自分たちで作ることにした。標高50メートル以上の箱根西麓は南向きで適度な傾斜があり日当たりが良く、寒暖差などによって甘いニンジンを作ることができる」と話す。
同商品は、1缶190グラム中にGABAが20ミリグラム含まれていることが分かり、機能性表示食品の登録をして、缶のデザインをリニューアル。ニンジンのイラストを描いた3缶入りの縦長のパッケージも用意した。
山本さんは「『ふじのくに新商品セレクション』には過去2回挑戦していたが落選していて、リニューアルを機に3度目の挑戦をした。なんとか金賞が取れたらいいと思っていたが、最高金賞と知って『まさか』と思った。暖冬でニンジン全てにカビが生えてしまったり、大雨で畑の一部が流されてしまったりと、いろいろな失敗を乗り越えてここまできた。過去最多の応募商品の中から最高金賞に評価してもらえてうれしい」と話した。
審査員からは「ペーストの効果で濃厚でありながらもフレッシュかつフルーティーで飲みやすい」「血圧が高めの人のためにとって、機能性表示食品として今後の発展が期待される」「3個用の紙箱は、缶を縦に入れるというのが新鮮」などの評価があったという。
山本さんは「健康を気遣う人はもちろん、ニンジン嫌いな子どもにも飲みやすいと思う。単身者や離れて暮らす家族ににんじんジュースを送るという使い方もしてもらえたら」とも。