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三島の美術館に「幻の槍」蜻蛉切公開―全国からファン集まる

《大笹穂槍 銘 藤原正真作(号 蜻蛉切)》(部分)室町時代

《大笹穂槍 銘 藤原正真作(号 蜻蛉切)》(部分)室町時代

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 佐野美術館(三島市中田町)で現在、展覧会「ひとの縁は、ものの縁」が開催されている。

矢部さんが自身を「この壺のような男」と表現した壺

 同展は沼津市の実業家・矢部利雄さん(1905~1996)のコレクションを初公開するもの。国宝1点、重要文化財2点を含む日本刀をはじめ、室町時代の根来塗の漆器、茶道具や、鎌倉時代から江戸時代にかけての絵画など多岐にわたる。

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 展示の中でも話題を集めているのが、戦国武将の本多忠勝の持ち物で知られる「天下三名槍(そう)」の一つ「蜻蛉切(とんぼぎり)」。戦国時代をテーマにしたゲームに登場するなど、よく知られた槍でありながら、これまで公開の機会がほとんどなく、ネット上でも長く「行方不明」と書かれていたほどで、幻の作品となっていた。今回の展示は佐野美術館でも11年ぶりの展示となり、話題となっている。

 神奈川から訪れた刀剣ファンの男性は「蜻蛉切を見に来た。数百年前の槍がこうしてきれいな姿で伝わっているのが素晴らしい」と作品に見入っていた。

 同館によれば、蜻蛉切を目当てに週末を中心に大阪や香川、鹿児島など全国から多くの来場者があり、従来の刀剣展に比べ家族連れやカップルの姿も目立つという。同作品のポストカードは1日100枚以上売れる日もあり、開催1週間で急きょ増刷した。「昔からこれが見たかった」と、蜻蛉切の写真が掲載された1960年代発行の書籍を持参する熱心な来場者の姿も見られたという。

 同館の館長渡邉妙子さんは「乗り物酔いがひどかった矢部さんは、これらのコレクションを戦後すぐからほとんど沼津から出ることなく集めた。展示品の一つである『自然釉壺(ゆうつぼ)」は、1939(昭和14)年に引佐郡(現浜松市)で小学生により偶然発見され、平安時代を代表する壺と評価され当時話題になったもの。矢部さんは「私が死んだ後、矢部はどのような人間かと聞かれたら、この壺のような男だったと伝えてくれ」と語っていた』と話す。

 絵画作品には、一遍が現在の沼津市井田を訪れた場面を描いた「一遍上人絵詞伝断簡」(鎌倉時代)や、沼津の景勝地を描いた「沼津城南内浦十勝」(江戸時代)など、地元に親しみのある場所が描かれたものが多いのも特徴。

 同館広報担当深沢香奈さんは「それぞれのジャンルでいいものが集まっているので、いろいろな見方ができる展覧会。刀剣ファンはもちろんのこと、三島や沼津の人にも身近に楽しんでほしい」と来場を呼び掛ける。

 開館時間は10時~17時。入館料は一般・大学生1,000円、小・中・高校生500円。木曜休館。2月15日まで。

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