私設天文台「月夜のうさぎ天文台」(沼津市岡宮)で11月8日、「皆既月食観望会」が行われた。
皆既月食は太陽、地球、月が一直線に並んで起きる天体現象。この日、月は18時9分に欠け始め、19時17分に皆既食となった。20時42分に皆既食が終わり21時49分に通常の満月に戻った。天文台では天王星食は雲がかかり観測できなかったが、「キッズタイム」「想(おも)い出(撮影)タイム」「昔キッズタイム」の3部制で開催し、92人が参加した。
同施設は酒販店「酒の矢田」屋上にあり、2016(平成28)年に開設。ドームサイズは直径約2メートル、高さ約3メートルで、口径21センチの反射式望遠鏡を設置している。酒店店主の矢田匠さんの趣味が天体観測で、矢田さんは同施設を「酒屋付き天文台」と位置付けて、地域住民にも開放している。
矢田さんは「来場した子どもに部分食についての解説はするが、皆既になったときの色は伝えないようにしている。人によって感じる色の違いがあり、大人の知識を押し付けたくない。皆既中は曇ってしまい、多くの色の反応が聞けなかったのが残念だったが、多くの色を伝えてくれた子もいて、押し付けないことが良かったと感じている」と話す。
市内から訪れた小学2年の友野嘉之君は、幼稚園年中の頃に矢田さんに弟子入りを志願し、望遠鏡の操作方法を矢田さんから学んだ。嘉之君は「前回は1時間待っても見ることができなかったので今年は見ることができてうれしい。将来の夢は望遠鏡の焦点を合わせる人になりたい」と話す。嘉之君は駐車場に設置した望遠鏡を操作し、来場者とコミュニケーションした。
長泉町から訪れた小学3年の三田結子さんは「ここに来たのは2回目。月がとても奇麗だった。矢田さんに教わり、スマホで月の写真を撮ることもできた。私も矢田さんに弟子入りしたい。将来の夢は宇宙飛行士」と笑顔を見せた。