沼津市在住の音楽家・川口三郎さんが3月15日、再編曲・再録音した令和版の「沼津市歌」完成を頼重秀一沼津市長に報告した。
同楽曲は1955(昭和30)年、沼津市と愛鷹村、内浦村、西浦村、大平村の合併記念として歌詞の募集を行い、応募157作品の中から市内の小学校長を務めた故高橋清さんの歌詞が選ばれ、同市出身で名誉市民の作家・芹沢光治良が詞を補作、作曲家の中田喜直が作曲した。同年7月1日に沼津市歌として制定され、現在は毎日正午に同報無線のチャイムでメロディーが市内全域に流れている。
市制100周年記念事業の一環として再編曲を担当した川口三郎さんは1月21日、沼津市民文化センター(沼津市御幸町)でピアノ、管弦楽、吹奏楽の3パターンをレコーディングした。ピアノ伴奏は沼津西高校の大石和規教諭、独唱は沼津西高校の村まつ達彦教諭、歌唱は沼津市立沼津高校吹奏楽部、管弦楽は沼津交響楽団、吹奏楽は沼津市立高校吹奏楽部と沼津ブラス・フロンティアが担当した。
完成した音源とピアノ伴奏譜、管弦楽演奏譜、吹奏楽演奏譜など全6種類の楽譜は現在、沼津市公式ホームページで公開している。3月20日正午から市内の同報無線チャイム音も変更される。
川口さんは「沼津市からは親しみが持てて現代に合った編曲をとの依頼を受けた。校歌や市歌などはイントロに必ずといって良いほどサビの部分が起用されるが、そうすると沼津市歌はどんなに工夫しても活発なスタートになってしまうため、市歌の歌い出しの『清く聳(そび)える』の部分のメロディーを各所にちりばめた。児童や学生の皆さんには愛着を持って心優しく歌えるようなアレンジにした。同報無線の正午のチャイムも新しくなるので、これが千本浜で流れたら、沼津の街中で流れたら、学校で流れたらと、風光明媚(めいび)な沼津のさまざまな場所を想像しながら編曲した」と話す。
川口さんは「市制100周年という貴重な機会に立ち会えてうれしい。香貫小学校では鼓笛隊、中学・高校では吹奏楽部に所属し、音楽大学に進もうと思ったのは高校3年の夏。そこからピアノを練習し、大学時代に教員免許を取った自分が、このような大きな事業に参加させてもらい、名前を残していただき感謝している。諦めなければ夢はかなうということをこれからも学生たちに伝えていきたい」とも。