沼津新仲見世商店街で6月9日、商店街イベント「しんなかわくわく市」が行われた。
商店街の活性化と商店街を舞台に表現する人の活躍の場として、2023年5月から毎月開いている同イベント。同商店街の「井草呉服店」「昭和レインボー」が中心となって開いているもので、今回で12回目となる。
今回は誠恵高校(沼津市沼北町)が参加し、商店街と同地域のにぎわい創出に一役買った。同校の部活「高校コーヒープロジェクト」が自家焙煎(ばいせん)コーヒーを提供したほか、eスポーツ部が「太鼓の達人」の演奏・体験プレーを実施。イベントでは、かつて西条町にあった「後藤駄菓子店」の人気メニュー「ソーダ水」を復刻した。
当日は、コーヒーもソーダ水も各100杯近く販売し、会場はにぎわいを見せた。特に「後藤さんのソーダ水」は老若男女さまざまな世代の客に提供され、高齢者からは「懐かしい味わい」という声が聞かれた。
午後になると、後藤駄菓子店を営んでいた後藤秀男さんの長男・清隆さんと孫の隆宏さんが会場を訪れ、再現されたソーダ水を試飲した。今回のイベントについて、隆宏さんは「SNSで祖父の店について情報を探しているのを知って訪れた。40年ぶりのソーダ水の味が懐かしい」と笑顔を見せる。
隆宏さんにとると、祖父の秀男さんは戦前から中国で菓子職人として活躍。終戦後は沼津に戻り「後藤駄菓子店」を開業。菓子職人ならではの手仕事を生かした駄菓子が人気で、秀男さんの後を清隆さんの妻であるひろ子さんが担当し、平成になる直前に自宅の建て替えと同時に閉業したという。
隆宏さんは「ソーダ水の甘みは祖父の手製のシロップによるもの。市販の炭酸水に水あめをベースとした甘味で、オリジナルで作っていた。いつも水あめでシロップを作る祖父の姿が幼い時から印象的で、今となっては祖父と昨年亡くなった母しか知らないレシピだが、ここまで復元してくれとてもうれしい」と、祖父とソーダ水の思い出について話す。
同校の小野貴弘理事長は「当時の駄菓子店を営んでいた親族に届いてとてもうれしい。今後も街の活性化を目指し、市に定期的に参加できれば」と話す。