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三島「楽寿園」のSL、半世紀ぶりに汽笛の音 地元高校生が修復

修繕した機関室と一杉さん。衣装は全て自前で、自ら探して購入したという。

修繕した機関室と一杉さん。衣装は全て自前で、自ら探して購入したという。

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 JR三島駅の目の前にある市立公園「楽寿園」(三島市一番町)で5月5日、園内にあるSLが、約半世紀ぶりに汽笛の音が復活する。

修繕している園内のSLと一緒に敬礼する一杉さん

 復活するのはC58形蒸気機関車で、国鉄時代に北陸地方を中心に活躍。1973(昭和46)年に現役引退した後、同園に展示用のSLとして設置。幅広い世代に愛される同園の名物となっていた。

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 当日は、空気ポンプを使い実際蒸気で汽笛を鳴らす体験を行うもので、今回汽笛を鳴らすのは初。汽笛の音色の復活は約半世紀ぶりとなる。

 汽笛を鳴らすきっかけをつくったのは、地元出身の一杉夏来(なつき)さん。一杉さんは沼津市内の高校に通う1年生で、現在は15歳。一杉さんの熱意と地道な活動がSLの復活を成し遂げた。

 一杉さんとSLの出会いは10年前の5歳のとき。幼稚園の遠足で大型のSLに魅了されたという。最も印象を受けたのが機関室に入った瞬間で、「その感動はとても大きかった。今でも覚えているほど」と話す。

 再び機関車に出会ったのは小学5年生のとき。再会した機関車について「機関室も汚れていて、部品も破損していた。本来の色である部分は塗り替えられていて残念な印象だった」と振り返る。

 一杉さんは自分が好きなSLの修復のために自ら清掃を行うことに。当初は自ら入園料を払い、機関室内の掃除や、壊れた部品を探して管理事務室に届けるなど自主的な活動を開始。当初は清掃だけだったが、一杉さんは機関車の構造についてインターネットや書籍、時には三重県や岐阜県の修繕活動を行っている団体に出向いて修繕や構造の勉強を行い、オリジナルの色彩に復元する修繕も行った。

 その活動が次第に共感を呼び、中学2年のとき同園は一杉さんの活動を支援することを決定。一杉さんが園内で活動することを認め、一杉さんの活動を同園スタッフが支援する体制を整えた。昨年からは楽寿園のボランティアスタッフとして正式に登録。一杉さんの活動は約5年の歳月を経て、正式に認められることとなった。

 今回の汽笛の復活も半年ほど前から一杉さんが構造を調べ、修復する箇所を検証するなどして修繕を企画。危険な部分はスタッフと一緒に活動し、エアポンプによる汽笛の再現を行ったという。

 実は一杉さん、授業の都合でテスト時の汽笛の音を聞いていないという。一杉さんは「当日イベント時に聞くのが初めて。どんな音色なのか今から楽しみ」と笑顔を見せる。

 今回の企画について、一杉さんは「機関車の汽笛の音を体感することによって、子どもたちを中心に、より機関車や楽寿園の魅力を知ってもらえれば。今回のイベントをきっかけに修繕の仲間が増えてくれると、さらにうれしい」と話す。

 一杉さんの将来の夢は「大井川鉄道などにある機関車の機関士になりたい。電車と異なり、機関車はその日の天候や火の加減、器具の組み合わせによって走行状態の変わる生き物。現在の精密機械が搭載された電車と別の、生き物のような魅力がある。その機関車に携わる仕事に就きたい」とも。

 同園の山本希さんは「今も日曜日や休日になると機関士の服を着て地道に作業をする青年。ぜひ彼の夢である機関士を応援してあげたい」と目を細める。

 イベントは13時から。抽選で3人(子ども2人、大人1人)が汽笛を鳴らす体験が行える。

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