稲取温泉(賀茂郡東伊豆町稲取)で6月3日、「どんつく祭」が開催された。
今年で50回の節目を迎える同祭。発祥は2000年前、稲取の素戔嗚(すさのお)神社の祭りとも伝えられている。
伝承による祭りでは、その年に成人する男性が「お面さん」と呼ばれる赤色と青色の天狗面をかぶり、男性器を模した棒で住民を突きながら民家を巡るという儀礼があり、突かれた人は夫婦和合や子孫繁栄、無病息災がもたされるという。現在、同地に儀式はなくなってしまったが、稲取温泉では50年前、観光誘客のため同風習を地域の祭りとして復刻し現在に至る。
16時からの宮出しで始まった祭りはこの日、地元住民らで神事を行った後、約2メートルのご神木が温泉街に運ばれた。
運ばれたご神木は同夜、集まった地元住民、旅館関係者、観光客でみこし巡行を行い、赤青2人の「お面さん」が突き棒を手に観客たちを追い回した。中には、お面さんの張り上げる声に驚き泣き出す子どもの姿もあった。
東京から来た観光客は「観光情報も少なくマニアックでまさに奇祭。子宝や子孫繁栄など、昔から日本に根付く風習文化として非常に興味深い」と話していた。
当日は50回を記念して新調したご神木も披露。伊豆にある樹齢150年のケヤキを切り出し作った物で、大きさは従来の2倍以上。長さ4.2メートル、直径80センチ、総重量は2.2トンという。
稲取温泉観光協会の八巻史恵さんは「おそらく世界で1番の大きさだろうが、特定できる記録がなくギネス申請などできずに困っている(笑)。どんつく祭に参加して待望の子宝に恵まれたという報告もあるので、隠れた稲取の魅力をぜひ一度確かめに来てもらえれば」と話す。
同祭は6月4日まで行われる。