伊豆・三坂漁港で海中熟成の日本酒3200本引き揚げ 書道家の墨汁も

引き揚げられた日本酒と、企画を行った上野さん

引き揚げられた日本酒と、企画を行った上野さん

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 南伊豆町の三坂漁港で6月12日、海中熟成された日本酒の引き揚げが行われた。

 同試みは今年で3年目。昨年11月30日に、港から沖合300メートルの深海20メートル付近に日本酒を中心に9ゲージ約3200本の4合瓶を保存した。

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 昨年の引き揚げ作業はマスコミなどを中心に多くの注目を集め、参加した酒蔵で販売された日本酒は高評価を得たという。参加蔵元の一つである白木恒助商店(岐阜市)の代表社員・白木滋里さんは「多くの問い合わせがあり、飲み比べセットは予想を上回るスピードで完売となった。寝かされた熟成酒は、後味にとろみがあり味わいが深いと評判だった」と話し、今年は昨年よりも多くの熟成酒を仕込んだという。

 今回は日本酒だけでなく、地元ホテルがワイン、東京の飲食店の依頼でシェリー酒やカクテルなども寝かせた。同企画の呼び掛け人で、東京で日本酒バーを経営する上野信弘さんは「今回はワインだけでなく、バーテンダーにも呼び掛け、さまざまな種類の酒を寝かせてみた。今後それぞれの蔵元やバーに瓶が渡り味わってもらえるのが楽しみ」と話す。

 酒類のほか、書道家が使う墨汁も4合瓶に詰めて寝かせた。京都在住の書家・小筆凰外(こふでおうがい)さんと京都の酒屋による試みで、京都で墨汁と一緒に寝かせた日本酒を味わいながら、書を披露するイベントに使う目的で寝かせたという。

 小筆さんは「硯(すずり)で墨をすった直後は、粒子も粗く書にも影響する。1~2日寝かせることで、墨にねばりと黒さが強調される。イベント用に寝かせたのは今回が初めてで、どのようになるか楽しみ」と話す。

 海中から引き揚げたゲージからは1本だけ栓の抜けた墨汁も発見された。栓の抜けた墨汁は、日本酒と一緒に硯ですった墨汁という。小筆さんは「何が原因かは分からないが、また来年も試す楽しみが増えた」と話す。

 熟成酒は慶応大学と共同で研究が進められており、今後、熟成に関してのメカニズムを研究史発表する予定という。上野さんは「昨年の成果と一緒に検証し発表していきたい。今後もさまざまなジャンルに声を掛け、熟成酒の輪を広げていきたい」と意気込む。