熱海にある「熱海秘宝館」(熱海市和田浜南町、TEL 0557-83-5572)の2015年来場者が昨年よりも大幅アップしたことが、1月5日取材で明らかになった。
同館は1980年オープンで、1984年目の前にある「熱海後楽園ホテル」(同)に経営移譲。1970年代~80年代に温泉街の風物詩といわれた「秘宝館」の中では、鬼怒川秘宝殿(栃木県)が2013年末で閉館し、現存する最後の施設となった。
館内にはエロチシズムをテーマとしたアトラクションが33あり、それぞれが童話や民謡、映画などをパロディーにした作品が並ぶ。館内にあるアトラクション「モンロー」はハンドルを回すと風が起こり、ハリウッドスターに模したろう人形のスカートがまくれあがるというユニークな仕掛けが目を引く。
同館によると、鬼怒川秘宝殿が閉館し、2015年の来場者は12万1600人を記録。前年である2014年の約9万人に比べ、約35パーセントの来場者増となった。
来場者の増加について同館支配人は「ここ数年熱海市のシティプロモーション経由での取材やロケ依頼が重なったのと、昨年から『日本で最後』というネーミングのおかげで知名度が上がったのも原因の一つ」と話す。
同館は1996(平成8)年の約16万8000人をピークに来場者が減少。東日本大震災の影響もあり「右肩下がりの来場者。正直苦しい時期も多くあった」(支配人)と言うが、継続している理由について「個人経営が多かった秘宝館に比べて、宿泊施設が母体となっている企業体で運営しているのも利点。ロープウエーや秘宝館などは維持メンテナンスに多額の費用が必要となる。企業体だから相乗効果を見込みながら運営できたのも、生き残ったポイントではないか」(同)とも。
さらに同館の来場者を増やしたのは、その客層の変化と立地だ。多くの温泉旅館は1990年代後半から団体客離れで旅館利用者が激減。しかし支配人は「現在は団体客よりも圧倒的に個人客が多い。男女比も開館当時は8対2程度と聞いているが、現在は6対4。女性たちだけのグループで訪れ、ツイッターやフェイスブックなどのSNSで旅行の『ネタ』として使う人も多い」と話す。
この日東京から来た20代のカップルは「熱海旅行で探してこの場所を知った。卑わいなイメージよりも、性を面白く表現しているのが楽しい。明るいイメージだ」と感想を述べる。
同館は昨年に2つの新アトラクションを設置、今年もアトラクションのリニューアルや再稼働を予定している。「通常、秘宝館と聞くと暗く、人に話すをはばかれる雰囲気があるが、時代とともに女性たちの認識が変わり、受け入れられるようになったのでは。館内でも常に来場者に受け入れられるような、明るいエロチシズムを追求していきたい」と今後の抱負を話す。
営業時間は9時30分~17時30分。1月15日は館内メンテナンスのため休業。