熱海秘宝館(熱海市和田浜南町)エントランスにある「マーメイド」が3月11日、約30年ぶりに復活を遂げた。
【関連画像】30年稼働しなかった「美人前」のマーメイド(2016年1月撮影)
1980(昭和55)年にオープンした同館。「現存する日本最後の秘宝館」として知られる。「明るいエロチシズム」をテーマに33のアトラクションを設置し、昨年は12万1600人が来場した。
今回は、マーメイドのほか、「白ヘビ神社」「ベリーダンサー」の計3体を補修。中でもマーメイドは同館のシンボル的存在となっている。
同館スタッフは「マーメイドに関する資料が少ないため詳しいことは分からないが、知る限りでは開館当初からあり、通称『サイボット』と呼ばれる当時最先端のプログラム制御で動いていた。その後5年ほどで故障して停止したと聞いているが、当時の設計図面や技術的に引き継いだ人がおらず、今までマーメイドを修復する手だてがなかった」と話す。
同館では昨年夏、数年ぶりに導入した新アトラクションの反響や、近年増加傾向にある来場者数の状況から、マーメイドの修復を決断。同年末に、アミューズメントアトラクション製作業者など専門家を招集した「技術集団」を結成し、全て手探りの中、マーメイドの修復に着手した。
同館スタッフは「当初は修理をすればすぐに動作すると思ったが、思いのほか複雑な構造だったため期間を要した」と振り返る。修復に掛かった期間は、当初の予想よりも長い約3カ月。マーメイドの首や腰の動作部分は修復したが「まだ指などの一部に関して、まだ改善の余地がある」とも。
修復されたマーメイドは、構造だけでなく外見もリニューアル。それまで金髪でくすんだ肌をしていたが、女性技術員の手により青い長髪に、口紅とつややかな肌色のメークを施され、「以前より美人」に変身した。
マーメイドはこの日、スイッチを押すと流れるテーマソング「熱海秘宝館のテーマ」に合わせて軽快な動きを披露していた。
卒業旅行で来たという大学生たちは復活したマーメイドを見て、「エロというよりも、肌の美しさなど細やかな部分がしっかりしていて、とても美人だと思う。今回の秘宝館は、メンバーとの卒業旅行の思い出になった」と話す。
同スタッフは今後の施設運営について、「当館には昔の隠れた資産がまだ多く眠っているため、その掘り起こしを行いたい。チャンスがあれば、マーメイドも完全修復したい」と意気込む。
営業時間は9時30分~17時30分。