三島市にある食品加工会社「三島食品」(三島市南二日町)が10月1日、新商品「NEOふがし」の販売を始めた。
静岡県では麩(ふ)菓子のことを「さくら棒」と呼んで親しみ、黒砂糖ではなく白砂糖を溶かしたものを付着させるのが定番。ピンク色が基本で、長さは90センチと通常の麩菓子に比べ10倍ほど。日本人観光客だけでなく、海外旅行者もその珍しさで買い求める人が多いという。
同社はさくら棒製造を約20年前から行っている県東部では唯一の製造元。製造は社長の伊丹大地さんが1人で原材料のグルテンを引き伸ばし、焼き上げるところから始まる。伊丹社長は「夏場には50度を超えることも。常に熱中症対策との戦いだ」と笑う。
さくら棒の製造の歴史については諸説あり、伊丹社長によると「少なくとも50年以上の歴史があるが、詳細については不明な点が多い。現在のさくら棒は多くのフレーバーが存在するが、香料による香り付けのみで、味は白砂糖の味が一般的。そのため『さくら棒はサクラ味ではないのか?』と購入者からの質問もあったが、事例はなかった」という。今回、新商品発売に合わせてサクラ味の開発に挑戦した。
同商品開発のきっかけは、渋谷ロフト(東京都)で10月1日から開かれている「ピンクジャンボリー」。同イベントはハロウィーン時期に合わせてピンクをテーマにイベントや商品販売を行うもので、「さくら棒をもっとピンク色にできないか」という依頼を受けて始まった。
「以前から香料だけでなく、より本格的なさくら棒の開発を考えていて、今回の依頼がチャンスと感じた。いっそなら『サクラ味のさくら棒』を作ろうと思った」と伊丹社長。およそ2カ月かけて、西伊豆町のサクラの葉の塩漬けや、小田原産のヤエザクラの花弁を使ったペーストを開発した。味に関して妻の千尋さんは「さくら餅のような淡い塩味と甘さ、そして食べたときの香りがさくらを彷彿させる」と話す。
同商品は同ペーストを使った「さくら」のほか、「ローズ」「フランボワーズ」の計3種類を用意。ローズはバラの香り、フランボワーズはベリーの風味を生かしたほのかな酸味が特徴。パッケージデザインはイラストレーターの竹井千佳さんが担当した。
今後について伊丹社長は「ビーガンやマクロビなど、今までにないチャレンジを行い、麩菓子の魅力を引き出したい。今後も面白いものや、ぶっ飛んでいるものを開発していきながら、定番の味はしっかりと守っていきたい」と話す。
価格は1本1,080円(送料別)。ロフト渋谷店の店頭と同社の通販サイトで、1000本限定(予定)で販売する。