下田の飲食店・旅館などを紹介するサイト「伊豆下田100景」が6月10日、連載推理小説「伊豆下田料理飲食店組合事件簿」の第3話「一品香・天然塩ラーメン」の配信を始めた。
同企画は、実在する伊豆下田料理飲食店組合に加盟する飲食店を舞台にし、実際のスタッフたちが登場するミステリー小説を、全11話で構成したもの。
物語は、現組合長で焼肉店「焼家(しょうや)」の店主である澤地大吉さんが何者かに襲撃された事件から始まる。犯人は次期の組合長を狙う飲食店の6人に絞られ、蕎麦店「むさし」の正木真理子さんと、下田署の架空の刑事・新庄誠が事件解決するべく、各店舗を「捜査」していく。
小説は毎回1700字程度に収められ、全部で序章を含めて11話、7つの店舗が登場する。捜査される店舗は実際の店主のほか、店の雰囲気や人気メニューなども登場。小説から店の特長が伺える仕組みとなっている。
同物語を執筆したのは、下田市に住む作家の岡崎大吾さん。岡崎さんは東京で作家活動を続けてきたが、サーフィンが好きで環境のいい場所を探していたところ、下田の魅力に引かれて移住を決意。現在は下田市観光大使としてエッセーなどで下田の魅力を発信している。
岡崎さんは「実際の人物や食べ物が出て来る殺人事件を書いてほしいという依頼があったが、実際の人物を殺人事件にした文章にすると、店の評判が悪くなるので、殴打事件として描いた。今まで書いた小説は、読者と作家の距離が遠いものだが、今回の作品は作家も読者も登場人物も近い。コミュニケーションの道具として小説にした」と話す。
今回の企画者は、「被害者」の組合長と一緒に焼肉店を営む澤地寛之さんと妻のあきこさん。あきこさんは「今まではきれいな写真や興味をそそる文章で、組合員の店舗を紹介し、他サイトとの差別化を図ってきたがここ数年、どのサイトもクオリティがあがり、次の企画を考えていた際、岡崎さんと出会い、無理を承知でお願いしたところ、快く引き受けてもらった」と話す。
現在序章と3話までを配信している同連載。「主役」で事件の真相を見つける役の正木さんは「市内の仲間だが、早くもサインをねだられた」と笑う。
今後について岡崎さんは「外部から魅力を知ってもらうのはもちろん、この小説をきっかけに街の魅力を深く知ってもらい、ヘビーリピーターになるようなファンを作っていきたい。まだ犯人は自分しか知らない。これから読む読者も、誰が犯人か想像しながら楽しんでほしい」と話す。
小説は1話100円でダウンロード販売している。「伊豆下田100景」ホームページで確認できる。