国の天然記念物である大室山(伊東市八幡野)で2月25日、恒例行事「山焼き」が行われた。
大室山の山焼きは700年以上続く歴史あるもので、標高580メートルある山肌を全て焼き払う行事は、山の保全と良質なカヤを採取することを目的としたことが始まりとされている。現在は伊東地方の春の訪れを知らせる行事として定着している。
行事は2月の初旬に降雪があった影響で2週間延期となり、当日は9時30分から火口付近を焼く「お鉢焼き」からスタート。多くの保存会のメンバーが観光客の誘導を行いながら火口内部を焼いた。
12時前になると、開催の花火と共に裾野から火が全体に放たれ、わずか10分ほどで山肌全体を黒く焦がした。
大室山から近い「伊豆シャボテン動物公園」(八幡野)でも山焼きが確認でき、来園者たちは園の南側にある鳥類の放し飼いコーナーに集まり山焼きの風景を撮影。園内にいる鳥類たちは、火が燃え広がるのを察知し、移動するなど慌ただしい様子が見られた。
この現象について飼育担当者は「動物は温度や煙の匂いなどの察知能力が高く、この日も普段と異なる雰囲気に騒いだと思う。毎年この日はどの動物たちも騒々しくなる」と話す。
園内で山焼きの風景を体験した、東京都在住の武藤叶奈ちゃん(6)は「今まで見たことがない。煙や炎、そして鳥の驚く様子がすごかった」と迫力について感想を話した。