9月20日に生きたまま捕獲され沼津深海魚水族館シーラカンスミュージアム(沼津市千本港町)で飼育されていた深海魚のラブカが9月23日に死んだことが分かった。
ラブカはカグラザメ目ラブカ科に属するサメの一種で、主に水深500~1000メートル付近に生息する深海魚の一種。原始的なサメの特徴が残されていることから「生きた化石」として呼ばれることもある。
ラブカは9月20日、同館館長の石垣幸二さんが同乗した底引き網漁船で生きたまま捕獲。石垣さんは当時を「底引き網漁で収穫されたほとんどの魚は、水揚げ時に死んでしまうのだが、今回のラブカは元気な状態で捕獲できた。ラブカが捕獲できるのは年に1度か2度ほど。特にこの季節は水温が25度以上ということもあり、生きていることが珍しい」と話す。
捕獲されたラブカは石垣さんの手当により生きたまま水族館に運ばれ飼育を開始。同館ではこれまで4例の飼育を試み、展示飼育の最長記録は4日。今回は20日から飼育を始めたが、翌21日に容体が悪化し展示を中止。翌22日朝に死亡が確認され、3日間の飼育となった。
死んだラブカは現在冷凍保存されており、今後はく製として展示する予定という。飼育中の21日には漁業中に引き揚げられ死んでいる別のラブカを27日と28日に展示し、写真撮影と触れることができるよう公開する。
同館は2011年に開館し、今年で4年目。3年ほど前からの深海魚ブームが人気となり、今年の8月には昨年の来場者を上回る30万人の来場者を記録。今年は前年に比べて165%の伸び率を記録している。
石垣さんは「底引き網漁と深海魚を食する歴史は100年以上あるが、今回のラブカなどの深海魚が注目を浴びるのは数年の話。その理由は、漁師たちにかみついたり食用の価値がなかったりして、捕獲しても捨てられてしまうから。温度や気圧の問題で引き揚げたときには死んでおり、図鑑のような写真は撮影することは可能だったが、その生態に注目が向かなかったこともある」と話す。
深海魚漁は9月12日から解禁となり、温度が下がるこれからが深海魚たちが展示されるシーズンを迎える。世界で唯一の深海魚水族館については、「そこで生きている生物の生態を人の目に触れてもらい、どう楽しく興味深く理解してもらうのを伝えるのが、この水族館の仕事。今後も長く飼い続けていきながら、どのように伝えていくのかをバランスをもって運営していきたい」と話す。
開館時間は10時~18時。入館料は、大人=1,400円、子ども(小中学生)=600円、幼児(4歳以上)=200円。