元さば節工場だった「カネキュウ芹沢水産」(沼津市我入道浜町)で2月5日から、リノベーション工事が始まった。
1985(昭和60)年に建て替えたというさば節工場内では、沼津港で水揚げされたサバを乾燥・くんせいする機械が並ぶ。現在は廃業しているが、建屋内には薫製の香りと当時をしのぶ置物が残る。
同施設を購入した、沼津市出身で函南町在住の映像作家・山本広気さんは、作家活動の傍ら、てんぷら廃油で動く自動車を運転し、ソーラー発電教室で講師なども行っている。2018(平成30)年からは「静岡オーガニックフェスティバル」実行委員長を務める。
山本さんは、今回のリノベーションのきっかけについて、「電気や資材など限りある資産をどのように活用し循環するかを考えていた。教室やイベントを通じて関心を持ってくれている人はいるが、街にその文化を継続する施設がなかった。海外にはリビルディングセンターやリユースを行う場所が多くあり、循環社会が成り立ってた。沼津にもその循環がテーマになり、人が集まる場所を作ろうと考えた」と話す。
リノベーション後の施設は「循環ワークス」と命名し、古材・古物の流通拠点、廃天ぷら油ステーション、地域の生産者を応援するイベント広場としての活用を予定している。
現在はさば節工場にある残置物の撤去や整理を行っており、リノベーション作業は、山本さんの友人だけでなくSNSで知った市外の参加者も協力している。
この日手伝っていたのは神奈川県から訪れた加藤隆彦さん。加藤さんは「前日にSNSを見て、活動内容に共感して参加した。廃材をどのように活かすかとても興味があり、完成がとても楽しみ。完成後は自身もワークショップなどに参加してみたい」と話す。
同所は古材の流通拠点としての機能のほか、カフェを併設し、5月開催をを目標に各種ワークショップを予定している。
山本さんは「改装工事はまだまだこれから。人との交流を通して、地域資源を再発見できる、地域が潤う施設を目指していきたい」と意気込む。