沼津市民が中心となり活動している吹奏楽サークル「After Graduate Club(A.G.C)」が8月22日、イシバシプラザ(沼津市高島町)で演奏会「1484 forever 1DAYsession」を行った。
同サークルは今年1月、沼津市出身の大学院生・今田大登さんが発起人となり、20代~40代の若者世代の交流を目的に設立。今年1月に結成し、3月に初めて発表会を行った。2度目となる今回の発表会には19人の演奏者が集まった。
イシバシプラザは、1978(昭和53)年、製紙工場跡にオープンした。地上4階・地下1階の売り場面積は約2万2500平方メートル。イトーヨーカドーのほか各種専門店が入居し、多くの市民に親しまれてきたが、施設老朽化に伴い閉店が決まった。
今田さんは「子どものころは週の半分以上はイシバシプラザを訪れ、高校生時代には仲間とゲームセンターに通うなど思い出が深い。仲間や市民と一緒に思い出作りをしようと考え、演奏会を企画した」と話す。
今田さんは今年5月から演奏会開催に向け準備を進めてきた。当初は新型コロナウイルス感染拡大を懸念していた施設側も、ソーシャルディスタンスを保(たも)てるよう観客席を27人に限定したり、インターネットによる生配信を行ったりするなど、感染対策を講じた上で今田さんの熱意を後押し。開催にこぎ着けた。
当日は会場・オンライン合わせて約100人が観覧した。演奏者たちは、「ルパン3世のテーマ」や、イシバシプラザが誕生した年にヒットしたピンク・レディーの「UFO」など合計5曲を演奏。このほか、ヒューマンビートボックスと吹奏楽の異色コラボ演奏なども披露し会場を沸かせた。
発表会の司会を務めた津賀由布子さんは「小さいころにはラジオ体操の皆勤賞にポテトフライをもらったり、夏のプールへ行くバス待ちの間階段で遊んだり、服を初めて自分で購入したのもイシバシプラザだった。今でも仕事に使う画材を購入するなどなくてはならない存在だったのでとても残念に思うが、演奏会のおかげで前向きに送り出せる」と話す。
イシバシプラザは19時過ぎ、全ての業務を終了し、集まった地元民たちの前で石橋昭彦社長が最後のあいさつを述べた後、シャッターを閉め43年間の営業に幕を下した。
今田さんは「多くの人に興味・関心を持ってもらえるような、演奏が行えた。今後も沼津の街を音楽の力で活性化し、新しい世代のコミュニティーを作っていけたら」と話す。