酒販店「酒の矢田」で9月21日、中秋の名月にちなんだ「ぼっち試飲会」が開催される。
同店は1969(昭和44)年に先代の矢田照雄さんが創業した酒販専門店。現在は2代目の匠さんが店舗の切り盛りをしていて、自身の足で仕入れた100種類以上の日本酒など、量販店と異なる品ぞろえが特徴。
もう一つの特徴は、匠さんの趣味が高じて2016(平成28)年、屋上に建設した天文台「月夜のうさぎ天文台」。新型コロナウイルス感染症が流行する前までは、天文台を使った試飲イベントや、部分日食のライブ配信なども行っていた。
来店客の特徴について匠さんは「年齢は20代から70代まで幅広く、その日の晩ご飯に合わせた酒を選んで提供するスタイルが多い。ワインだけでなく日本酒やビールなど食事やつまみに合わせると何倍も楽しめる。そのような個人客が足しげく通ってくれる」と話す。
新型コロナウイルス感染症の影響で、イベントが開けなくなったことから、匠さんはインスタグラムのライブ配信を通じた「ぼっち試飲」を今年5月に開始。毎週火曜日の閉店後、日本酒やワイン、ジンなどの酒類を自ら試飲しつつ、紹介するコンテンツを配信している。
ぼっち試飲について匠さんは「ワインや日本酒など、まだ多くの人はブランドや人気など”頭でっかち”で飲んでいる人が多い。例えば器を変えるだけで味わいが変わるなど、気軽な飲み方を知ってもらいたく始めた。インスタグラムライブ内では、しょうゆ皿で日本酒を飲むなど、さまざまな提案をしている」と話す。
今回は、21日の中秋の名月に合わせて月見をテーマに行う。試飲は店内で販売しているオーストラリア産のオーガニックロゼワイン「ディヴァルト」、ロゼワインに合わせるつまみはマクドナルドの「月見バーガー」を指定する。
天文台からの月の中継も行う予定で、匠さんは「晴れてくれるのを祈るしかない。こればかりは当日にならないと分からない」と笑う。
今後について匠さんは「気負わず地道に進めていきたい。日本の飲酒人口は若い世代を中心に飲まない人が増えてきた。飲酒のいい文化を伝えていくために今後も続けて啓発していければ」と意気込む。
開催時間は21時~。店舗の営業時間は8時30分~21時。木曜定休。