チョウザメ料理を提供する料理店「Sensa-Banbetsu(センサバンベツ)」(函南町上沢)が1月8日、オープンする。
チョウザメと地元産の食材を使った料理を提供する同店。カウンター6席でランチとディナーはおまかせコースのみの完全予約制。店舗入り口にはチョウザメの水槽があり、チョウザメの稚魚を鑑賞することができる。
オーナーシェフの舘野毅さんは埼玉県出身。調理師専門学校卒業後、イタリアレストラン「リストランテ アカーチェ」(東京都港区南青山)と「リストランテ 山崎」(東京都港区南青山)でのシェフを経てイタリアに渡り、地方料理を学んだ。帰国後にはキャビア専門店「ベルーガ」(東京都渋谷区)でシェフを経験した後、埼玉県にイタリアレストラン「トラットリア ストリオーネ」(埼玉県大宮区)をオープンした。
舘野さんは「チョウザメは卵のキャビアだけが高級食材として扱われていて、チョウザメ自体の多くが捨てられていることに疑問を感じていた。2018(平成30)年から函南でチョウザメの養殖が始まり、函南からチョウザメを自分のところに持ってきて、『これを料理してほしい。函南のチョウザメがおいしいのかどうか判断してほしい』と声を掛けられたのがきっかけ」と話す。
館野さんは、組合の要請を受け函南でチョウザメの講習会などを開催。函南駅についたときは「自身が埼玉出身ということもあり、すごい田舎に来てしまった」と当時を振り返る。
2020年に函南のチョウザメを埼玉の店に運んで加工し、函南に戻して販売する計画があったが、コロナ禍で店舗の方針が変更したことや、函南のチョウザメ養殖を目指す「函南ちょうざめ企業組合」の人から「チョウザメ全体を活用したい」という思いに賛同して単身で移住し、店を開くことにした。
シェフおまかせコースのランチ3,300円はチョウザメとキャビア、静岡県東部の食材を使った5、6皿、5,500円はチョウザメとキャビア、静岡県東部の食材を使った6、7皿を提供。ディナーの5,500円コースのメインディッシュには天城黒豚、1万1,000円コースでは看板メニュー「キャビアの冷製パスタ」を提供する。
家庭でも気軽にチョウザメ料理を味わってほしいと、テークアウトの惣菜として「チョウザメカレー」(640円)や「チョウザメのアンチョビマリネ」(100グラム=540円)、「チョウザメのスモーク」(1,500円)などを販売する。
舘野さんは「少しでもチョウザメを知ってほしいと、リーズナブルな価格設定にした。近所の人が野菜を提供してくれるなど、あたたかい人たちに支えられている。キャビアだけでなくチョウザメの魅力を養殖場の近くで発信していきたい」と意気込む。
函南のチョウザメについて「かなりベストな環境で育てられている。チョウザメはくせのない白身で味はタイ、食感はフグと言われる非常においしい魚。チョウザメの魅力を養殖場のある函南町から静岡県そして日本中に発信していけたら」(館野さん)とも。
テークアウトの営業時間は11時から17時30分