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沼津の演奏家が「エコリドゥ」開発 海洋ごみ問題を楽器で表現

エコリドゥを演奏する北川さん

エコリドゥを演奏する北川さん

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 沼津市在住で楽器製作家・演奏家の北川和樹さん(38)が7月24日、ペットボトルで作った楽器「エコリドゥ」をお披露目した。

タカアシガニリドゥ

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 北川さんは神奈川県出身。オーストラリアへの渡航歴があり、渡航中に先住民アボリジニに伝わる楽器「ディジェリドゥ」の製造方法と演奏を習得。帰国後、戸田地区の地域おこし協力隊として着任し、隊員活動の傍らディジェリドゥの普及活動を始めた。

 隊員任期中の2017(平成29)年7月に、地元名産品であるタカアシガニの殻を使って「タカアシガニリドゥ」を製作。演奏風景を動画配信したところ3日間で10万回を超え、テレビや新聞でも話題になった。

 北川さんは地域おこし協力隊を退任後も戸田に住み続け、現在はディジェリドゥの製作と演奏を中心に活動を行っている。ディジェリドゥは月間5本ほど製作し、1本3万円~10万円程度で販売している。

 演奏活動は全国で行っていたが、新型コロナウイルス感染症の影響で中止が相次いだ。現在はオンラインを用いてディジェリドゥのレッスンを行っている。生徒は30人ほどで、学生や主婦など幅広いという。

 今回開発したエコリドゥについて、北川さんは「戸田にいる友人たちが、ペットボトルの処理で困っているという話を聞いたのがきっかけ。何か手伝えないのか考えているうちに、楽器にできないかという発想に至った」と振り返る。

 それからしばらくの間、近隣の飲食店やゲストハウスから出るペットボトルを探して集めたという北川さん。ペットボトルを見ていくうちに「今までは自身と関係が薄かったペットボトルだったが、楽器製作を通して、空ペットボトルが大切な楽器に見えるようになった」と笑う。

 ペットボトルのキャップ部分とボトル部分を骨組みにし、ガラス繊維などで補強し「エコリドゥ」を完成させた。発想からおよそ半年近くかかったという。7月24日にはお披露目を兼ねて演奏を披露。「ごみに見えなくなったというエピソードに共感した来場者から、ステージ後にも質問が絶えなかった」と北川さん。

 現在は最終調整を行っていて、演奏しつつ音の磨きをかけるという。「環境問題には関心はあったが、どのように人に興味を持ってもらうか考えていた。ペットボトルでできた楽器を演奏することによって、環境に関心が薄い人も音楽という出発点から関心を持ってもらえれば。今後も環境だけでなく、人の役に立てる制作者・演奏家でありたい」と決意する。

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