函南町にある寺院「長光寺」で12月4日、完成した「黄金参道」がお披露目された。
境内にある樹齢約300年というイチョウの落ち葉をで参道を埋め尽くした「黄金参道」は、参道の階段を上がった場所から約50メートル続く。
長光寺住職の柿沼忍昭さんは「今年は例年に比べ紅葉が1週間ほど遅く、落ち葉も緑色で落葉するものも多い。自然に近い形で見せたいため、ほうきで掃くのではなくブロワーの風を生かして黄金参道を作っている」と話す。
柿沼さんは「住職に就任した2012(平成24)年ごろから黄金参道を作っている。就任当初は毎回降り積もるイチョウの葉に苦労していたが、落ち葉を使って何かできないか考えた結果、黄金参道作りに行き着いた」と振り返る。
「寺の住職をする前からアーティストとして活動していた。せっかく作るならアートとして違和感があり、注目するものをと考えた」とも。「イチョウは毎年樹木から栄養を吸収し、また地面へと帰る。毎年行われる行為に目を向けてもらえれば」と柿沼さん。
製作当初は1人で作っていた黄金参道も、次第に協力者が増え、今年は地元から6人ほどの手伝いが参加したという。柿沼さんは「作業効率より、みんなで作品を作る共体験を大事にしている」とほほ笑む。
現在は東北や名古屋から参拝に訪れる人もいるという。柿沼さんは「多くの人や時間がかかるが、いつかイチョウの洗浄と選別をみんなで行い、純粋な黄色で参道を埋め尽くしたい」と話す。