大瀬まつりが4月4日、大瀬崎(沼津市西浦江梨)と内浦漁港(内浦三津)で行われた。
海上安全と1年間の豊漁を祈願し、毎年4月4日に行っている同祭。今年は内浦など県内の漁港から8隻の踊り船が集まった。大漁旗や杉の枝、紅白幕などで華やかに装飾された「踊り船」は各漁港を出発。大瀬神社を参拝し、海の安全と大漁を祈願した。
祭りの主役となる地元の男性漁師たちは、おしろいで顔を白く塗り、口紅を引き、ピンクや赤色の長じゅばんを羽織って女装する。船上の漁師たちはおはやしに合わせ「勇み踊り」と呼ばれる地域伝統の踊りを披露。「ちゃんちゃらおかし、ちゃらおかし。あのこのしゃっつら、まだおかし」の掛け声とともに踊り、大瀬神社を目指した。
船員たちは大瀬神社を参拝した後、勇み踊りを披露。船上の漁師たちは踊り続けながら対岸の内浦地区へ移動した。「いけすや」(内浦小海)の港では、コロナ禍後初となる勇み踊りを披露した。
踊りを4年ぶりに見たという女性は「大瀬では神事として行われていたが、港から勇み踊りを眺めるのは格別。沼津にやっと春がやってきた感じだ」と笑顔を見せる。
真っ白に女装した男たちが活躍することから「天下の奇祭」とも呼ばれる。女装する理由について、地元では、大瀬神社の祭神が男性であるため漁師たちが喜ばせようとした説が有力とされている。地元漁師は「4月4日は桃の節句と端午の節句の中間。男と女の中間だから男が女装し、妻は夫の安全を願って長じゅばんを託したという説もある」と話す。