「楊原神社・大朝神社例大祭 厳冬海中みそぎ祭り」が1月14日、牛臥山公園(沼津市下香貫)内の小浜海岸で行われた。
楊原神社と大朝神社(同)の正月の伝統行事として天下太平と五穀豊穣(ほうじょう)を願って行われる同祭。厄年の男性や年男で構成される「神男(かみお)」と呼ばれるふんどし姿の男衆が、勇壮なかけ声を上げながらみこしを担いで真冬の海に入る。
沼津市が指定する「ぬまづの宝100選」に認定されている恒例行事で例年成人式の季節に行われ、多くの参加者や見物客が集まる。二社厳冬海中みそぎ祭り祭典実行委員会の原田武虎さんによると、祭りは江戸時代から行われていたが、沼津大空襲でみこしが焼け、途絶えていたという。地元有志が2002(平成14)年に再興させ、今年で23回目を迎えた。
今年の神男は志願者の中から選出された16人で、沼津市内だけでなく県外からの参加者もあった。神男たちは「えんやーこーら、どっこいしょ」のかけ声とともに厳冬の駿河湾に勇ましい姿で入水。再び陸上に上がると、祭りの役員や参加者らから「祝い水」と呼ばれる冷水を浴びせられ、一年の無病息災を祈った。
愛知県から初めて参加した年男の男性は「風が強かったが、大きなかけ声で気合を入れて海の中に入ったので寒くなかった。参加できなかった人の気持ちを胸に、天空から降臨する神様のより代として自らの肉体を差し出す覚悟でみこしを担いだ。今年は仕事も私生活も充実した一年にしたい」と話した。
猿田彦神役を務めた奥野利幸さんは「6回目の参加。猿田彦神役を予定していたメンバーが駿東伊豆消防本部の救急支援隊として石川県珠洲市の復興支援に行くことになり、急きょ自分が務めることになった。通常10月に一本歯げたが支給されるが、今日初めて一本歯げたを履いた。無事勤め上げられてほっとしている」と話す。「60歳の厄年の今回で最後にするつもりだったが、来年また神男として参加したい」と笑顔を見せる。