沼津の特産品「タチバナ」を有効活用したフィナンシェの販売が2月5日、市内で始まった。
タチバナは、日本に古くから野生していた日本固有のかんきつ類の一種。本州の一部、四国、九州などに自生しているのが確認されており、戸田地域はタチバナが自生する北限として知られている。小ぶりな実は香り高く、酸味が強いのが特徴。
しかし、タチバナは実が小さく種が多いことから加工品には不向きとされていた。今回はタチバナを安定的に供給するため、タチバナを酵素で溶かしピューレ化した。
タチバナのピューレを開発した「スプレッド企画」(伊豆の国市原)の袰岩(ほろいわ)敬蔵社長は「日本古来のかんきつであるタチバナは、日本書紀では『不老不死の実』として記されているなど、ストーリー性の強い果実。何とか活用できないか思案した結果、ピューレにすることで長期保存とほかの食料とのミックスが可能になった」と話す。
フィナンシェを企画した「ツナゲル」(沼津市下香貫)の榎昭裕社長は「戸田でタチバナの存在を知ったとき、同時に果実が余り冷凍庫で眠っているという課題を聞いた。タチバナのストーリーの良さを生かした商品にし、沼津を代表する商品になれば」と話す。
榎さんは「調整に手間はかかったが、地元関係者らにヒアリングを重ねて改良を繰り返し、納得のいくものができた。このフィナンシェをきっかけにタチバナのストーリーに触れてほしい」と話す。
価格は1個300円。「NewStand+」(沼津市大手町)などで取り扱っている。