三島市商工会議所(三島市一番町)で8月22日、三島市優良田園住宅企画のキックオフイベントが開催された。主催は加和太建設(三島市文教町)。
優良田園住宅とは「優良田園住宅の建設の促進に関する法律」に基づくもので、三島市の場合は敷地面積300平方メートル以上・3階建て以下・建ぺい率30%以下等の一定の基準を満たした一戸建て住宅のこと。現在の農地法では通常住宅地への転用が禁止されているが、同住宅に認定された場合、住宅地への転用が可能となる等の優遇がある。同制度を使った宅地開発は県内で初のケースとなる。
同プロジェクトは三島市大場にある農地約8500平方メートル、想定する住戸は19戸。今回の説明会には、関係者ら約30人が参加し、プロジェクトの趣旨や、完成までの流れなどについて説明が行われた。
プロジェクトのメンバーは、設計を成瀬・猪熊建築設計事務所(東京都)、居住者と地域のコミュニティデザインをスタジオエル(大阪府)が担当。入居者たちは、地域や関係者たちと友好的かつ発展的なコミュニティを作り、より付加価値のある住宅の形成を行っていく。
イベントには、加和太建設の河田亮一専務、建築家の成瀬友梨さん、スタジオエルの山崎亮さん、地元台場地区で建築業を営み、地域活動にも積極的に活動している杉澤建設(三島市大場)の杉澤克久常務が登壇。今回のプロジェクトと大場地域についてトークセッションを行った。
山崎亮さんは、日本の住宅について「今までは住む場所がなく、必要あがって住宅を立てていた。しかし、人口減少で家は余り、従来の必要性はなくなってきた。東京を除く多くの地区が人口減少に直面し、数十年後には東京も人口が減少する。その人口減少を受け入れ、住み方を改めて考える必要性に迫られている」と話し、今回のプロジェクトについて「ほかの地域のモデルとなるような事業になれば。建設会社だけでなく、住人や周囲の人が頭に汗をかいて作っていきたい」と述べた。
また成瀬さんは居住するモデル像について「価格や利便性を価値と思う人ではなく、自分たちで価値観を創出する人が来てくれれば。一緒に住宅や周辺のコミュニティ、そしてデザインについて考えることは手間が掛かる。しかし、将来的に価値の向上に繋がり満足度が上がる。若い夫婦だけでなく、高齢者なども含めた多くの世代が集まってくれれば」とも。
今回の企画を担当する川合弘毅さんは「通常の住宅は年を追うごとに価値が下がる『経年劣化』が起こるのが常識。このプロジェクトでは、地域と一緒に建物だけでない価値が向上する『経年良化』を目指していく。今回のメンバーはその一線の第一人者たち。この企画を通して、新しい暮らし方を提供し、それを発信し続けてく『新しい街』を作っていきたい。地方のゼネコンとして、新しいチャレンジを行っていきたい」と話す。
販売は2017年春、完成は同年夏を予定している。