伊豆高原にあるブックカフェ「壺中天(こちゅうてん)の本と珈琲」(伊東市八幡野)で現在、三島市在住の美術家・住康平さんの個展「イマージュの部屋の鏡たち」が開催されている。
「鏡」をモチーフにした作品16点を展示する同展。住さんによると、今回の展示作品は住さんが美大生だった頃の2004年を中心に制作した物で、作品はガラスの入った大小の額縁でできており、中に日本画に使う岩絵の具のほか、アクリル絵の具などを塗ったパネルが入っている。ガラスには作品の手前に立つ人物や風景が鏡のように映り込む。
住さんは「通常の絵画や彫刻などの芸術作品は、作品に表現されたイメージから作者のメッセージを読み解くものだが、今回の作品は、人や風景などの具体的なイメージが描かれているわけではなく、鑑賞者自身の姿が映り込む。そこで初めて作品が完成する。」とも。
ガラスを使った理由について、「パネルに塗られた絵の具と色にまなざしを向けようとしても、その手前にあるガラスというフィルターに鑑賞者自身の姿が映ってしまうことのジレンマを生み出したかった。作品に映る自分の姿を見ることで起きる何かしらの感情を体験してもらいたい」と住さん。
同ギャラリー・オーナーの舘野茂樹さんは「同ギャラリーは貸し出しするのではなく、自らの交流で知り合った作家に依頼して展覧会を開催するのが中心。今回の住さんの展示も昨年からお願いして実現したもの。ぜひ住さんの世界をのぞきに来てほしい」と話す。