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沼津の旧百貨店でマリンバとダンスのコラボイベント 「月の裏側」をイメージ

特別な空間の中、演奏する鈴木さん(奥)と踊る長井さん(手前)(行貝チヱさん提供)

特別な空間の中、演奏する鈴木さん(奥)と踊る長井さん(手前)(行貝チヱさん提供)

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 JR沼津駅南口にある商業施設「沼津ラクーン」(沼津市大手町)で8月18日、Scale Laboratory(スケイルラボラトリィ)が主催するステージイベント「待ち合わせは月の裏側」が行われた。

会場全体の様子

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 今回ステージとなったのは、1957(昭和32)年に開店し、1971(昭和46)年に完成した旧西武百貨店の新館部分の8階。現在同館を運営しているラクーン沼津の江波戸健さんは「かつては食品関係の販売スペースであると聞いている。しかし、閉店後からはまだ借り手が決まっていない」と話す。

 8階部分の広さは約766平方メートルあり、現在はスケルトン状態。江波戸さんは「照明が少なく、エアコンなどの空調も一切ない」としながらも、「8階から見える沼津のパノラマ夜景は、この地域では珍しい光景」と話す。

 代表の川上大二郎さんは「今までの舞台も魅力があったが、今回は出演者たちがより表現の活動できる場所としてふさわしかった」と話す。

 同ステージは、今年3月に熱海で共演したダンサーの長井江里奈さんと、地元・沼津出身で国際コンクールの入賞経験もあるマリンバを中心としたパーカッション奏者・鈴木彩さん2人によるもの。鈴木さんは今回の再コンビ結成に当たり、「ぜひ地元の沼津の広い場所で一緒に行いたかった」という。

 当日、会場には約100人が集まり、エアコンの無いフロアは開始前から熱気に包まれた。ステージでは、長井さんのコンテンポラリーダンスと、鈴木さんのマリンバなどの楽器による演奏の共演を披露。演奏曲はアメリカの作曲家ジョン・ケージの「ドリーム」などを披露した。

 一方、長井さんは音楽に合わせて踊り、時にはステージを飛び越えフロア全体で踊りながら表現する姿も。鑑賞していた30代の男性は「打ちっぱなしのコンクリートが、静かで熱いだろう月面のイメージにぴったりだった。ステージ上で行われるかと思ったら、客席の間を抜けて出て行ったり予想のできない動きをしたりして楽しい」と感想を話す。

 イベント後には出演者や川上さんを囲んだアフタートークも。出演者から感想を求められた男性来場者は「分からなかったが、分からないなりに印象に残った。昔、アンディ・ウォーホルの作品がCMに出ていて何だかさっぱり分からなかったが、とても忘れられないものとなった。今回はそれと同じような感覚」と話す。

 長井さんは「分からない、ということはマイナスではなく、分からないという新鮮な感情に触れてもらえれば。地域や年齢に感覚の差はないと思う」と話す。

 今回のステージを終えて、鈴木さんは「小さな子どもたちも最後まで興味を持ってくれたようで、とてもうれしかった。しかしながら、暗い空間の中でいかに観客と距離を縮めるのかはとても難しかった」と振り返る。

 川上さんは「今後は静岡東部を中心の遊休施設・土地を舞台に、今までやったことのない企画を考えていければ」とも。

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