内浦港(沼津市内浦三津)で4月4月、伝統行事の「大瀬(おせ)まつり」が行われた。
海上安全と1年間の豊漁を祈願し、毎年4月4日に行っている同祭。
祭りの主役となる地元の男性漁師たちは、おしろいで顔を白く塗り、口紅をひき、ピンクや赤色の長じゅばんを羽織って女装し、大瀬崎にある大瀬神社(西浦江梨)に参拝後、船頭部にタイやオカメなどの飾り物を付け、大漁旗や紅白幕を立てて豪華に装飾した「踊り船」と呼ばれる船に乗る。
港に近づくと、船上の漁師たちがおはやしに合わせ、「勇み踊り」と呼ばれる地域伝統の踊りを披露しながら、餅や特産物のミカンなどを港にいる人たちに振る舞う。
真っ白に女装した男たちが活躍することから「天下の奇祭」とも呼ばれる。女装する理由について、地元では、大瀬神社の祭神が男性であるため漁師たちが喜ばせようとした説が有力とされている。地元漁師は「4月4日は桃の節句と端午の節句の中間。男と女の中間だから男が女装するのではないかとの説もある」と話す。
晴天に恵まれたこの日、見学に訪れた市内在住の80代女性は「若いころは静浦漁港などさまざまな場所で同様の祭りを行っていた思い出がある。今では内浦港でしか行われていないが、変わらない女装姿を見てとても懐かしく感じた」と笑顔を見せる。