南伊豆にある「ヒリゾ浜」(南伊豆町中木)で6月19日、地元漁師らによって海岸の清掃活動が行われた。
ヒリゾ浜は、南伊豆町の中木漁港と石廊崎の中間にある伊豆の最南端に位置する浜辺。同浜は、ありのままに残された自然環境と、伊豆半島内でも屈指の透明度で人気となっている。
同浜が現在もその透明度を誇る理由として、地元の渡し船「殿羽根丸(どんばねまる)」の船長で、中木の情報発信を行っている高野克宏さんは「この浜一帯は地形的に崖に囲まれ、車や徒歩ではたどり着けない。黒潮の影響もあり、常にきれいな海水が入る。河川もないので泥などの流入もない。幾重もの条件が重なったからこそ、この景色がある」と話す。
同浜は40年ほど前、中木地区の民宿経営者らが宿泊者向けに行ったサービスをきっかけに整備された。その美しさからダイビングやシュノーケリングなどで注目され、30年ほど前から多くの観光客が集まる場所へと成長していったが、なおその美しさを保っている。
高野さんは「船でしか渡れないからこそ、来場者を制限し、来場者にゴミの持ち帰りなどをお願いしている。漁獲や、それにつながるバーベキューの禁止などで魚を中心とした自然の保護を目の届く範囲で行っている。シーズン前に無許可にダイビングする来場者たちの監視も住民たちが行っている」と話す。
この日の清掃は地元住民ら3人とボランティアら計5人で行われた。清掃は浜に打ち上げられたテングサが中心で、5人で土のう袋60個分、約180キロのテングサを除去した。
参加者の一人で、埼玉県から移住してきた仁井田実(まこと)さんは「季節を問わず何度も訪れるうち、高野さんら地元住民と仲良くなり、引っ越してきた。今回は高野さんらの手伝いで参加した」と話す。「全国でダイビングをしたが、海の美しさや魚類の豊富さはここが一番。その多様さに魅入られている」とも。
高野さんは「秘境と呼ばれるスポットも、清掃や管理、そして多くの住民らの『もてなし』の気持ちでできている。自分たちはその思い出や笑顔が何よりの返礼。今年も気持ちよく利用してもらえれば」と話す。
同浜の海開きは7月3日の予定。