清水町にある地域交流センター(清水町堂庭)で5月11日、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が始まった。
清水町の第1弾の接種対象者は65歳以上の高齢者で8317人。4月末日までの1回目のワクチン接種予約者は6908人で、ワクチン接種は7月末を目標に終了する予定。
接種会場となる地域交流センターには、この日接種予定の200人が時間前に列を作り、受付後、ファイザー社製のワクチン接種を受けた。
会場入り口に当たる受付部分に置かれているグランドピアノは通常、一般に開放している。今回は午後の1時間ほど、地元・清水町在住のピアノ講師ら4人がピアノ演奏を行った。
ピアノ演奏を行ったのは浅田朱美さん、岡部南都子さん、中川貴久美さん、小林かなみさんの4人。4人は清水町や沼津市、三島市などで、それぞれピアノ教室を営んでおり、浅田さんは老人向けピアノ教室も主宰している。
今回の企画について、浅田さんは「コロナウイルスのワクチンは初めてのこともあり不安なことも多い。今回は会場となるピアノを活用して少しでも心に安らぎを与えたいと思いつき、交流センターに申し出た」と、きっかけを話す。
演奏項目は「見上げてごらん夜空の星を」「マイウェイ」や「エーゲ海の真珠」などワクチン接種者の年齢層に合わせた演奏を披露。演奏は4人が順番に行った。
この日接種を受けた田村ヨシエさん(77)は「長時間待つのが不安を広げるようで、とても心細かった。ピアノの演奏が聞こえたとき、自分の知っている曲もあり、とても良かった」と話す。
接種前の列に並んでいた80代の男性は「音楽がとても和ませてくれ、不安を取り除いてくれた。未知のワクチンだからこそ、こういう心遣いはとてもうれしい」と胸をなで下ろしていた。