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沼津の聖火ランナーに全盲の大胡田さん 「一歩踏み出す勇気の大切さ、世界中に伝えたい」

沼津城北高校の囲碁将棋部と美術部の生徒が描いたイラストを持つ大胡田さん

沼津城北高校の囲碁将棋部と美術部の生徒が描いたイラストを持つ大胡田さん

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 静岡県立沼津城北高等学校英語教諭の大胡田裕さんが6月24日、聖火ランナーとして出走する。

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 大胡田さんは伊豆市(旧修善寺町)出身で、現在は沼津市在住。先天性緑内障を抱え、小学校入学のタイミングで、視覚特別支援学校がある沼津市に引っ越し、12歳ごろから全盲となった。

 大胡田さんは大学を卒業後、2006(平成18)年に非常勤講師として沼津西高校に勤務し、2007(平成19)年に正規採用され教諭となった。2013(平成25)年から沼津城北高校に勤務し、現在は英語の教師と2年3組の副担任、囲碁将棋部の顧問を務めている。

 聖火ランナー応募のきっかけについて、大胡田さんは「所属する静岡県視覚障害者協会青年部の集まりで、聖火ランナーの募集について話題となり、自分たちが走ることで共生や多様性を伝えるために仲間で応募してみようということになった」と話す。

 「全盲の自分が教職を目指すきっかけになったのは柔道との出合いで、トレーニングを積めば健常者の中で戦える自信と、競い励まし合える仲間を得ることができた。応援してくれる人々への感謝と、一歩前に踏み出す勇気の大切さを得た。聖火ランナーでその思いを世界中に伝えたい」と思いを語る。

 大胡田さんは、今回のランナーに決まったとき「とてもびっくりした。オリンピック・パラリンピックが1年延期になったのは新型コロナウイルス感染症の広がりも深刻化していたので仕方ないと思った。パラリンピックを目指す仲間が身近にいたので、自分よりもその選手たちのことが気掛かりだった」とも。

 当日は、静岡県障害者スポーツ指導者協議会の会長で父の茂夫さんが伴走する予定。父の伴走について「自分が生まれる前からパラスポーツに尽力してきた、一番身近で応援し続けてくれた父親と一緒に走りたいと思った。これまでの40年で出会ってくれた人と、これから出会うであろう人への感謝の気持ちを持って200メートルを走りたい。全盲の私が走ることで、何か感じてくれる人がいるといいなと思う」と話す。

 沼津市の聖火リレーは6月24日、19時3分に飛龍高校をスタートし、ゴールのプラサヴェルデを目指す。

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