修善寺駅前にある長倉書店(伊豆市柏久保)が7月21日、リニューアルオープンした。
初代店主の長倉慶昌さんが1928(昭和3)年に三島広小路で創業した同店。出版事業も行い現在の本店にあたる修善寺に移転。現在は3代目社長の一正さんが修善寺にある本店ほか、複合商業施設「サントムーン柿田川」内(清水町玉川)に静岡県東部で最大規模の書店を経営している。
店舗リニューアルについて、一正さんは「これまでは、伊豆にやってくる旅行者や文学好きをメインターゲットに書籍販売を行っていたが、3年前に駅前のTSUTAYAが撤退。伊豆市内唯一の書店になったため、一般書籍の問い合わせが多く寄せられるようになった。この機会に原点である『地域の書店』に立ち帰ろうと思い、内装をリニューアルした」と話す。
一正さんが2017(平成29)年、旅行者向けに店舗倉庫を改装した「旅の図書館」は今回、「読書と旅」をコンセプトにした販売コーナーに変えた。一正さんが選んだ「言葉」「愛」「生きる」などをテーマにした書籍、伊豆在住の読書家55人が選んだ「55人の知人」コーナー書籍、絵本などを並べる。
一正さんは「自身が読んだ本や話題になった本など、お薦めしたい本を陳列し、地元に住んでいる人が本を好きになるきっかけを作りたい。本好きにとって、普段好んで買う本の傾向と異なる本を見つけるなど、昔からある街の本屋の『きっかけ作り』に力を入れていきたい」と話す。
「店頭には児童書や絵本を並べ、子どもたちに向けて人生最初の読書のきっかけを作るよう、見えやすい位置に配置した」とも。
「絵本を販売する際、棚の中央には一番の売れ筋を置くが、実際に売れるのは幼児の目線に置かれた下段。近年のビッグデータや、売上分析とは異なる売れ方があり、書店員を30年近くやっていて今回のリニューアルは自身にとって原点に戻る体験があった」と一正さん。
「今後は、市内唯一の書店と、静岡県東部最大の書店のお互いの強みを生かした書店づくりを目指したい。街の書店という本来の機能を維持しながら、新しい本好きとのコミュニケーションを育んでいきたい」と意気込む。
営業時間は9時~18時。